アスコリピチェーノは馬混みでうまくコントロールできたのが勝因だ。スタートを五分に出て好位を確保した3コーナー手前。内クイックバイオ、外コラソンビートに挟まれて進路が狭くなる。北村宏騎手は手綱を引いて抑えたが、その控え方が絶妙だった。

いったんは後続のプシプシーナにも半馬身ほど出られたが、前へは入れさせない。内ラチから2列目をキープして、ロスを最小限に抑えた。前半3ハロンは34秒4の平均ペース。無理して前へ出せば掛かる恐れがあり、下げれば位置取りが悪くなる。出し過ぎず抑えすぎず。このあたりがベテランの味。いいポジションで脚をためた。

直線はカルチャーデイの外へ開いて進路を確保。コラソンビートの内から馬体を寄せて勝負根性を引き出した。ゴール前の坂でステレンボッシュの追い上げにあったが、馬混みで無駄な動きをしなかった分、もうひと踏ん張りできた。

2着とはわずか首差だけに、前半のロスが大きければ逆転を許していたかもしれない。後半4ハロンがすべて11秒台の高速ラップを差し切った脚力(上がりはメンバー2位となる33秒7)は、北村宏騎手の冷静な手綱さばきによって生まれたといっても過言ではない。

3連勝で阪神JFを制したアスコリピチェーノをねぎらう北村宏騎手(撮影・白石智彦)
3連勝で阪神JFを制したアスコリピチェーノをねぎらう北村宏騎手(撮影・白石智彦)