高松宮記念(G1、芝1200メートル、26日=中京)は道悪の巧拙が勝敗を分けそう。中京競馬場がある愛知県豊明市の週間天気は、火曜夜から週末まで傘マークがついており、馬場の悪化は避けられそうにない。水島晴之「G1の鍵 その一瞬」は重巧者に注目。シルクロードS2着ファストフォース(牡7、西村)は脚質にも幅が出て充実一途。大駆けの可能性を探った。

ファストフォースは1200メートルの道悪(やや重~不良)で、5戦【2 1 0 2】の好成績を挙げている。唯一、掲示板を外した昨年の高松宮記念(9着、重)も勝ったナランフレグとは0秒3差。520キロ以上の大型馬だが、しっかり芝をつかむフットワークから、馬場が緩くても苦にしない。むしろ、その圧倒的なパワーで走り切る道悪巧者だ。

父ロードカナロア、母父サクラバクシンオーというスピード血統。昨年のセントウルS2着ではレコードに0秒4差の1分6秒6をマーク。高速決着でも結果を出しているが、馬場が渋ればプラスアルファの要素がつく。21年の北九州記念(2着)では雨のやや重という難しい条件の中、モズスーパーフレア、後のG1馬ジャンダルムに先着した。

また、最近は脚質に幅が出たのも収穫だ。2走前のタンザナイトSでは、行き切れず後方から大外を回る展開となったが、坂を上がって力強く伸びてグルーヴィットの4着。上がりは33秒9の脚を使った。前走のシルクロードSも、無理にハナには行かず5番手に控えて上がり33秒1。ナムラクレア(同32秒9)には切れ負けしたが、新しい一面を見せたといっていい。

これまでの強引に行って粘り込むのではなく、追走に余裕がある分、追い出してひと脚使えるようになったのは大きい。ここ10戦で連対はわずか2回。いつ走るか分からないムラ馬だが力はある。穴党にとっては好走しても人気にならないところが魅力のひとつ。7歳でひと皮むけた「ベテランスプリンター」が、道悪を味方に大仕事をやってのけるか。その可能性に懸けてみる手はある。

◆ひと雨降れば様相一変

【ここが鍵】

今週は1週間通して雨に降られそうだ。中京は2開催目の最終週を迎えて、さすがに芝は荒れてきた。先週も道悪(土曜は重、日曜はやや重)で競馬が行われており、中間の雨量次第では不良まで悪化してもおかしくない。

高速決着なら昨年9月のセントウルSでメイケイエールが1分6秒2のレコードで勝ったように先行、内有利だが、ひと雨降れば様相は一変する。道悪巧者に加え、馬力型、少し時計の足りない馬の台頭まで考えておく必要がある。

◆ウインマーベル、条件は好転 

シルクロードSのウインマーベルは外枠が響いた。しかも、内が伸びる馬場で出遅れ。さらに59キロ、休み明けで12キロ増と不利な条件が重なっての敗戦で度外視していい。重馬場では未勝利勝ちの1回だが、2番手から抜け出し2馬身半差の快勝だった。洋芝の札幌でもキーンランドC2着と力を必要とする馬場を得意にしている。条件が好転する今回は巻き返し必至だ。

◆ロータスランド復調ムード

京都牝馬S3着のロータスランドが復調気配だ。最後方から内ラチ沿いをすくった岩田康騎手の好騎乗もあったが、上がりは32秒8といい頃の雰囲気が戻ってきた。重~不良は【1 2 0 0】の成績通り「鬼」。1200メートルの高速決着では追走に苦労しそうだが、馬場が渋って中団くらいにつけられれば昨年2着の再現があっていい。乗り役も2度目で人馬とも上積みがある。