史上空前のハイペースに泣いた-。日本から挑んだUAEダービー馬クラウンプライド(牡3、新谷)は7番枠から好位2番手で積極的な競馬を見せたが、13着に敗れた。勝ったのは大外枠から道中後方待機でインを突いた伏兵リッチストライク。レースラップからは今年のケンタッキーダービーの性格がはっきり見えてくる。

突出した馬が不在で、先行馬が多くそろった今年の顔ぶれ。スタートが切られると、UAEダービー2着のサマーイズトゥモローがダッシュ良く、ハナヘ立ち、それに続いたのがルメール騎手とクラウンプライド。遅れぬように続いたのがゾゾス、メッシエー、サイバーナイフ、テイバ。人気のエピセンターが8番手という展開。序盤のポジション争い、1コーナーへの進入は想像以上に激しいものになった。

今年のケンタッキーダービーの正確な数字が米国競馬の記録を取りまとめる「エクイベース」のホームページに掲載されている(※JRAもエクイベースの数字を採用している)。これを見ると、400メートルごとのレースラップはスタートから21秒78-23秒58-24秒98-26秒62-25秒65。「エクイベース」には91年以降のケンタッキーダービーの記録が掲載されているが、前半400メートルで21秒台が記録されたのは初めて。ジャスティファイが制した18年の22秒24をはるかに上回り、91年以降で最速のハイペースだった。

3角で先頭に立ったメッシエーは15着、好位の外を走ったサイバーナイフは18着、ハナを切ったサマーイズトゥモローは最下位20着に沈んだ。結果的には積極策が裏目に出てしまったクラウンプライドだが、素晴らしい状態に仕上げられ、最後まで全力で走り抜いた13着だった。