土曜追いってどうよ? 3歳最強マイラー決定戦NHKマイルC(G1、芝1600メートル、10日=東京)の追い切りが6日、東西トレセンで行われた。調教を深掘りする「追い切りの番人」担当の太田尚樹記者は、朝日杯FS覇者カヴァレリッツォ(牡、吉岡)を徹底分析。前週土曜に実質的な最終追い切りをを課す吉岡厩舎のスタイルに迫った。

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青の馬服と白いシャドーロールを着け、坂路を4ハロン55~59秒台で駆け上がる。ラスト1ハロンも13~14秒台で全速力には至らない。レース当週の水曜における吉岡厩舎の調教は、およそこのパターンにあてはまる。3歳マイル王の座に挑むカヴァレリッツォも同様だった。彫刻のように研ぎ澄まされた筋肉を弾ませ、4ハロン58秒9-14秒1。初めてまたがった西村淳騎手は「雰囲気やオーラがある、いい馬」と素質を実感していた。

最も強い負荷は前週土曜に掛ける。20年3月の開業から、厩舎のスタイルを貫いてきた。その理由を吉岡師にあらためてたずねた。

「競馬も週末に行われますし、習慣性の強い動物なので(1週間の)リズムも考えてということです。当週にあまりやりたくないのもあります。自分がアスリートなら(当週の調教で)全力で走ったらしんどいと思う。逆に(実質的な最終追い切りが)前週の水曜だと遠すぎるので」

いかにレースまで疲れを残さず鍛えるか。その最適解として導き出したのが土曜追いということだろう。現在の競馬界において少数派ではあるが、ペプチドナイルやメイケイエールを輩出した武英厩舎も“土曜追い”を採用している。

今回はさらに入念だ。過去4戦は前週土曜にCウッドで追い切ったが、負担の軽い坂路へ変更した。「中2週で再輸送も控えているし(前走で)1回しっかりつくってあるので、オーバーワークにならないように」。自己最速4ハロン51秒8-12秒5でエリカヴェネチア(古馬2勝クラス)に2馬身先着。疲労を考慮しつつも「脚を残すことなくしっかり最後まで負荷を掛けた」と絶妙な仕上げを施した。

舞台は明らかに好転する。親子制覇を狙った皐月賞では好位につけるも13着と大敗。助手時代に手がけた父サートゥルナーリアとの比較について「あまり似てない」と評するトレーナーは「前走を見る限り、やはりベストはマイルなのかなと。成長としてはメンタルが一番大きくて、当日も落ち着いてゲートインできるようになったので」と反撃を期す。過不足のない調整を積み、フレッシュな心身で再度の東上を待つ。