阪神が今季20度目の完封負けを食らい、4連敗を喫した。初回にエラー絡みで2失点すると、中日大野雄に4安打完封勝利を献上。チームは20日ぶりの借金生活に入った。日刊スポーツ評論家の岩田稔氏(38)は振るわなかった打線の中でも、18打席連続無安打と苦しむ3番アデルリン・ロドリゲス内野手(30)の打席内容に心配顔。「力ずくで引っ張りすぎ」と指摘した。【聞き手=佐井陽介】

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ただでさえ、大山選手、近本選手、中野選手の3人がいない阪神打線です。中日の大野雄投手は初回から2点のリードをもらって、相当気持ちが楽になったでしょうね。1発警戒が必要な打者は3番ロドリゲス選手と4番佐藤輝選手ぐらい。走者をためなければ大丈夫。どんどんストライクで勝負していこう。そういった感覚が9回103球3奪三振3四死球という数字に表れていた気がします。

阪神打線は早いカウントから仕掛け続けました。難敵相手の場合、積極的な好球必打はある程度は仕方がありません。ただ、この日に限れば、真っ向勝負する打者が多すぎたようにも感じました。3球以内でスイスイとアウトを奪われ続ける中、もう少し流れを変える策を追求する打席が多くても良かったのではないでしょうか。たとえば逆方向にファウルを打ち続けてとことん粘る打者がいれば、ここまで大野投手を楽にはさせなかったはずです。

それにしても、ロドリゲス選手がやや心配です。いわゆる「手伸びゾーン」に長打のツボはありますが、体に近い直球に差し込まれる回数が多く、外角低めの変化球にも手を出しがち。あそこまで力ずくで引っ張りすぎる打者は、投手からすれば意外と打ち取りやすいものです。この日は痛烈な当たりもありましたが、9回裏無死一、二塁でも最後は外角低めツーシームを引っかけて遊ゴロ併殺打。パワーはあるのだから、もう少し逆方向に押っつける意識を持っても損はしないと思います。

タイガースにとって、ロドリゲス選手は「打ってもらわなければ困る選手」です。新型コロナ感染者が増えている今はそれどころではありませんが、もともとは大山選手ら主力のポジションを動かしてまで、一塁スタメンを任せている選手なのですから。ポジションが固定されている選手と逆の選手では、固定されていない選手の方がミスが出やすいのは当たり前。守備のミスが増えるリスクを冒してまで使うには、やはり理由が必要です。

ロドリゲス選手は3番に入ってから4試合で14打数無安打。日本球界へのアジャストをのんびり待ち続ける猶予は、今の阪神にはありません。コロナ禍で苦しむチームの救世主になってもらうためにも、打席での考え方も含めた改善策を早急に話し合ってほしいものです。(日刊スポーツ評論家)


○…新外国人ロドリゲスは3番に入って4試合無安打で、打率は1割8分9厘まで降下した。大野雄の前に、4回無死一塁は強烈なゴロも三塁阿部の好守で併殺。抜けていれば好機拡大だったが、矢野監督は「まあまあ、そんなの言い出したら、何でも言えるよ」と話した。9回無死一、二塁は遊ゴロでこの日2つめの併殺。7月22日のDeNA戦で代打タイムリーを放つなど、鮮烈デビューを飾ったが、ここへきて18打席快音なし。異例の早さでつくられた応援歌もこの日から奏でられたが、期待に応えることはできなかった。