阪神が引き分けを挟んで3連勝とした。巨人も敗れたため、優勝マジックは2減の14となった。2点を追う最終回に大山悠輔内野手(30)が右翼スタンドへ逆転の8号2ラン。2点差をひっくり返す劇的な勝利となった。広島3連覇監督の緒方孝市氏(56)は9回3得点を呼び込む殊勲者として、1人の選手の名を挙げた。

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目に見える試合のポイントは、上位打線が出塁し、クリーンアップが打点を挙げた。それが阪神の特長であり、主力の働きで試合をひっくり返したわけだが、この9回の逆転劇につなげた選手を1人挙げたい。

坂本だ。好リードで投手陣を引っ張ったのは素晴らしいが、私が特に興味を引いたのは2つの打席だ。5回の2打席目は、ケイに対し、ファウルで粘り、9球を投げさせ、四球を選んだ。左腕はこのイニングだけで24球を投げることになったが、球数がもう少し少なければ、8回も続投していたかもしれない。

この日のケイは本当に良かった。相性の悪い近本、中野、佐藤輝の左打者には、特に丁寧に投げていた。右打者にはカットボールが効果的で、芯で捉えられた打球はほとんどなかった。投手村上の1安打だけ。阪神打線にとっては、続投されることが嫌だったはず。

そして8回の坂本の打席。2番手伊勢に2球で追い込まれたが、フォークを3球見極め、再び四球で出塁した。得点には結びつかなかったが、この四球により、1番近本から9回の攻撃に臨めることになり、3得点につながった。2つの四球は相手に与えてもらったのではなく、坂本自身で勝ち取ったものだ。こういう試合展開では、1球やワンプレーで試合の流れが変わることがある。もちろん中野や森下、佐藤輝、逆転弾の大山が主役ではあるが、ヒットを打たずとも勝利を呼び込んだ坂本が殊勲者といえる。

9回1死満塁のピンチでも坂本は強気の姿勢を見せた。勝負どころで変化球という頭があったが、最後まで真っすぐで押した。投手の力を最も引き出すリード。あの配球は見ていて、考えさせられるものがあった。

阪神はやはり強い。あらためてそう痛感した試合だった。

DeNA対阪神 9回裏、最後を締め阪神捕手坂本(後方右)からねぎらいを受ける3番手の石井(撮影・江口和貴)
DeNA対阪神 9回裏、最後を締め阪神捕手坂本(後方右)からねぎらいを受ける3番手の石井(撮影・江口和貴)