5回表阪神無死、左越え二塁打を放ち、ガッツポーズする小野寺(撮影・前田充)
5回表阪神無死、左越え二塁打を放ち、ガッツポーズする小野寺(撮影・前田充)

<オープン戦:オリックス4-6阪神>◇15日◇京セラドーム大阪

阪神育成ドラフト1位の小野寺暖外野手(21=大商大)が、弾丸安打で1軍デビューを決めた。

オープン戦のデビュー戦で安打を打った阪神育成新人は史上初。関西6大学リーグでMVPを2度受賞した力強いスイングで猛虎史に名を刻んだ。

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小野寺は家族思いの青年だ。中学時代から母子家庭。母由子さん、兄仁さんと3人暮らしだった。阪神から育成指名を受けた際には「1日でも早く支配下登録に上がって母を楽にさせたい」と涙で恩返しを誓った。活躍してマイホームをプレゼントすることが将来の目標。1軍合流を母に伝えると「『よかったね』と。喜んでくれて『録画しとく』と言ってくれたので、見てくれてると思います」と照れくさそうに話した。

3回の第1打席は敵失で出塁後に1軍初盗塁を記録。だがその後、上本の浅い左飛で三塁へのタッチアップを狙って憤死した。「積極的じゃないミスより、積極的なミスのほうが次につながると思う」。そんな“前のめりな失敗”も含め、ハツラツとした全力プレーでグラウンドを駆け回った。テレビの前で声援を送ってくれた母に、頑張っている姿を見せるために。プロで最初の親孝行の日になった。【阪神担当 只松憲】

阪神育成1位で指名され会見で涙を流す大商大・小野寺暖(2019年10月17日撮影)
阪神育成1位で指名され会見で涙を流す大商大・小野寺暖(2019年10月17日撮影)