阪神の浜地真澄投手(24)が、伝説の救援投手「J」そして「F」に続こうとしている。29日現在41試合に登板し、防御率は0・95という驚異的な数字だ。

阪神浜地真澄(2022年7月撮影)
阪神浜地真澄(2022年7月撮影)

阪神は今季22試合を残しており、このペースならシーズン50試合登板も狙える。「年間50試合以上に救援登板し、防御率0点台」は、プロ野球史上わずか12人が13度達成しただけだ。

佐々木主浩(横浜) 98年=51試合、0・64

豊田清(西武) 02年=57試合、0・78

藤川球児(阪神) 06年=63試合、0・68 08年=63試合、0・67

ジェフ・ウィリアムス(阪神) 07年=60試合、0・96

浅尾拓也(中日) 11年=79試合、0・41

小林正人(中日) 11年=58試合、0・87

山口鉄也(巨人) 12年=72試合、0・84

岡島秀樹(ソフトバンク) 12年=56試合、0・94

比嘉幹貴(オリックス) 14年=62試合、0・79

松井裕樹(楽天) 15年=63試合、0・87

栗林良吏(広島) 21年=53試合、0・86

平良海馬(西武) 21年=62試合、0・90

98年に横浜(現DeNA)を日本一に導いた佐々木や、11年に中継ぎ投手初のMVPを受賞した中日の浅尾など、優秀な救援投手が並ぶ。阪神では藤川2度、ウィリアムス1度の計3度のみ。今季の浜地は、大先輩たちに匹敵する投球を続けている。

阪神藤川(左)とウィリアムス
阪神藤川(左)とウィリアムス

最大の武器は制球力だ。今季ここまでわずか3四球しか出してない。セ・リーグで40試合以上に救援登板している21投手中最少である。9イニング換算の平均与四球数を示す与四球率0・71も、この21人中1位だ。21試合目の登板となった6月26日の中日戦で、A・マルティネスに与えた申告敬遠がシーズン初の与四球というから恐れ入る。

阪神の大先輩である藤川が、初めて「救援50試合以上、防御率0点台」を成し遂げたのは06年。入団8年目の働き盛りだった。前年05年に中継ぎでブレークし、自信を深めた翌年だった。07年ウィリアムスは来日5年目で、既に超変則左腕として独自の地位を固めていた。

ところが浜地の昨季21年の1軍戦登板は、わずか4試合だ。うち3試合が負け試合で、いずれも大差をつけられた場面での敗戦処理だった。一昨年20年に至っては、たったの1試合。大きな実績のないまま急成長を遂げ、ブルペンの支柱となった点は特筆に値する。

魚のハマチといえば、体長が伸びるにつれ呼称が変わる「出世魚」である。今シーズン一気に世に出たハマチ投手。これからどこまで大きく育ってくれるだろう。「期待の若手」から「阪神を代表するリリーバー」へと呼び名が変わる日も、そう遠くはなさそうだ。【記録室 高野勲】(スカイA「虎ヲタ」出演中。今年3月のテレビ東京系「なんでもクイズスタジアム プロ野球王決定戦」準優勝)

ガッツポーズをする阪神浜地真澄(2022年7月撮影)
ガッツポーズをする阪神浜地真澄(2022年7月撮影)