野球の国から 平成野球史

松坂も同じ香水が「欲しい」/新庄剛志氏2

「野球の国から」の新シリーズ「平成野球史」。第3回はパ・リーグを、野球界を変えた男、新庄剛志氏(46)の登場です。引退後、初めてというスポーツ紙の取材に応じ、阪神、米大リーグ、日本ハム時代のエピソード、当時の考え、今の球界に思うことまで、新庄流に楽しくぶっちゃけます。

阪神時代の野村元監督をまねて爆笑トークする新庄氏(撮影・浅見桂子)
阪神時代の野村元監督をまねて爆笑トークする新庄氏(撮影・浅見桂子)

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プロ野球史上、新庄のようなタイプのアスリートは後にも先にもいない。グラウンドには一流ブランドの香水をつけて飛び出した。今から、汗と泥にまみれるというのに、だ。

新庄 おれにとって、ベンチが汗くさいの、マイナスポイントなんですよ。西武戦で、バントして一塁で松坂(現中日)と交錯した。次の日、平尾が来て「松坂が新庄さんからメチャメチャいい匂いがしたから欲しい」と言ってきた。おれ、遠征でもロッカーに10本ぐらい並べてたから、これあげるよと。あとで松坂は買いだめしたみたいです。アンパイアからも「新庄くん、昨日の香水、どこのブランド?」と聞かれて、買いにいってましたよ。

阪神入団3年目で、中村勝広監督だった92年。ヘッドスライディングが売りだった亀山努とのコンビでチームをけん引し、優勝争いを演じた。ヤクルトに次ぐ2位に終わったが、レギュラーの座を確固たるものにした。

新庄 タイガースがおれを育ててくれた。でも、亀・新フィーバーじゃなく、新・亀でしょ(笑い)。そのへんはこだわりますよ。なにをやっても新庄で1面、打っても、打てなくても、髪切っても、歯治しても1面…。ねっ。そりゃ先輩と仲悪くなりますよ。芦屋から新大阪に行くとき、誰ひとり、おれと一緒に行ってくれない。なぜかといったら、駅でファンがキャーっと来るでしょ。ファンからその選手が「お前のけや」とされる。それがつらかったです。

計7度のオールスター戦に出場したが、97年にファン投票2位で選出された際には、応援ボイコット騒動が起きた。レギュラーシーズンで不振を極めていたことで、スタンドに『新庄剛志 そんな成績で出場するな 恥を知れ』と横断幕が掲げられた。それもスターの証明だった。

新庄 つらかったね。だって、知らんやん、おれ。出たくないのに、あんたたち(ファン)が選んだんやろって。おれの気持ちを察してか、セ・リーグ監督の(巨人)長嶋さんが「もう、いいだろ」とベンチに引っ込めてくれたのよ。

阪神で仕えた監督は、中村、藤田平、吉田義男らだった。95年は藤田監督と反りが合わずに「ぼくは野球に対するセンスがない」と引退騒動に発展したが撤回。最後に出会ったのは、99年に電撃就任した野村克也だった。

野村が「なぜ盗塁しないんだ?」と問うと、「ぼく、盗塁に興味がないんです」と反応し、さすがの名将をあぜんとさせた。ただ、野村は「あの走りは素晴らしい。足が長いから余計に美しく見える。馬でいえばシンザン。サラブレッドシンジョウや」と潜在能力を見抜き、「投手」「外野手」の二刀流を容認した。(敬称略=つづく)【編集委員・寺尾博和】

長期連載「野球の国から」の新シリーズ「平成野球史」を、新元号となる5月まで送ります。時代を変えた野球人、時代を彩った名勝負、時代を揺るがした事件。「平成」を深掘りして考察します。

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