「保険」が効いた…という感じだ。先日、優勝を受けて阪神球団本部長・嶌村聡の長いインタビューが18日付けの日刊スポーツに掲載されていた。その中で嶌村は指揮官・藤川球児のスタイルを「管理野球ではない。マネジメント野球」と強調していた。それを借りれば、この日も「マネジメント」が生きたのかもしれない。

ヘルナンデスである。これも少し前、球団幹部とこんな話をした。失礼ながら「彼は今季、必要だったのか」という話題だ。幹部は苦笑しつつ「彼にはスタメンでガンガンやってもらうというより、レギュラーに何かあったときの保険的な意味合いはあったのかもしれません」という意味合いのことを言っていた。言い換えれば、これもマネジメントだろう。

球児の下で今季は例えば高寺望夢、中川勇斗の成長、守備固め要員だった熊谷敬宥の覚醒などもあった。結果的にヘルナンデスの出番は減ったが、もしもこういう部分がうまくいかなければ…と思えば、やはり必要だったのかもしれない。

主砲・佐藤輝明がコンディション不良を理由にこの日も欠場。スタメンは前日に続いてあまり見慣れない並びになった。そして久しぶりに1軍に戻ったヘルナンデスが「6番・三塁」でスタメン。そんな男が1点差に迫られた直後の6回に1号ソロを放つのだ。

さらに2試合連続で4番に座った大山悠輔が「今季4番初本塁打」。もっと言えば長い間、ファーム調整を続けていた木浪聖也が2試合連続の「5番」でスタメン出場、両試合とも安打をマークした。3番・森下翔太からの4番・大山、5番・木浪という「テル抜き」のクリーンアップが機能しての連勝だ。

もちろん、すでに阪神の優勝が決まり、広島もAクラス入りが難しいという状況もあっただろう。元担当記者として言わせてもらえば、申し訳ないが、あまりカープに覇気が感じられないような今季最後の対戦だった気もする。あるいは相手のモチベーションまで奪ってしまう強さがいまの阪神にはあるということか。

「すべての面において、力の差を感じさせられたシーズンだった」。元猛虎戦士でもある敵将・新井貴浩はそう振り返った。CSに向け、佐藤輝の状態は心配だけれど彼が不在だったこの2試合で、阪神は今季の“底力”を感じさせたのかもしれない。(敬称略)

広島対阪神 6回表阪神無死、左越え本塁打を放ったヘルナンデスを迎える藤川監督(撮影・加藤孝規)
広島対阪神 6回表阪神無死、左越え本塁打を放ったヘルナンデスを迎える藤川監督(撮影・加藤孝規)