第99回全国高校野球選手権が今日8日、甲子園で開幕する。予定では7日開幕だったが、台風5号の影響で順延。出場49校はこの日、各自で室内練習場を確保し、調整を行った。史上7校目の夏連覇を目指す作新学院(栃木)は、兵庫県内のバッティングセンターで練習。エース大関秀太郎投手(3年)は栃木大会準決勝で対戦したプロ注目の青藍泰斗・石川翔投手(3年)のフォームを参考に、快投を誓った。

 シャドーピッチングを始める直前、大関はスッと目を閉じ、ライバルの姿を思い浮かべた。その男は、栃木大会準決勝で投げ合った青藍泰斗のエース石川。今秋ドラフト候補で、最速151キロを誇る関東NO・1右腕の投球フォームを焼き付け、左腕を振った。

 大関 投げ合ってから、石川君の動画を見まくって、参考にしてます。

 3-2で競り勝ったが、石川は140キロ台後半の直球で9回を完投した。利き手も逆で、体格、投球スタイルなど共通するものは皆無だが、大関は同じ投手として、向上心を刺激された。「投げ合って、本当にすごいなと思った」。6日のシート打撃の登板時は持ち味の制球力とともに、力強さをアピールした。

 この夏、チームは史上7校目の夏連覇を目指す。だが、大関にとっては「人生で一番、悔しかった」思いを晴らす夏でもある。昨夏、栃木大会でベンチ入りしながら、甲子園はベンチ外。全国制覇を達成した瞬間をボールボーイで迎えた。当時のエース今井達也(現西武)に言われた「来年、行けよ」のエールに結果で応える。

 この日は、降雨の影響で兵庫県内のバッティングセンターで調整した。大関はその後、ベンチを外れたあの夏から1日も欠かさず、継続するシャドーピッチングで汗を流した。初戦は9日の盛岡大付(岩手)戦。「春(センバツ)は悔し涙だったので、夏はうれし涙に変えられるように」と意気込む。【久保賢吾】