今春16強の科学技術が、8-7のサヨナラで静清を破り、2010年以来8年ぶりの3回戦進出を決めた。2回を終わって7-0も、ジワジワと追い上げられて8回表に同点にされた。しかし、9回裏に静清エース田中優吾投手(3年)を攻略。最後は代走で途中出場の黒田夏来外野手(2年)が、狙っていた直球をはじき返し、激闘に終止符を打った。

 169センチ、56キロ。小柄で細身の黒田が、大仕事をやってのけた。9回裏1死一、三塁で、2塁打2本の5番和泉岳志内野手(3年)が、敬遠気味に歩かされて1死満塁。8回裏に代走起用され、そのまま6番に入っていた黒田が、静清の田中優が投じた低め直球を捉えた。打球は左翼手の前ではずみ、三塁走者の小栗宗也投手(3年)が、サヨナラのホームイン。ナインの手荒い祝福を受け、黒田が満面の笑みを浮かべた。

 「すごく緊張していましたが、先輩たちから『三振する気で振り切れ!』と言われ、全力で振り切りました。うれしいです」

 2回裏に集中打と押し出し四球2つで7点を取ったが、その先は苦しんだ。4回まで静清を無安打に抑えていたエース小栗宗也(3年)が徐々につかまり、8回表に追いつかれた。だが、9回表1死二塁のピンチをしのぎ、流れを引き戻した。9回裏、田中優の前に沈黙していた打線が奮起。小栗は仲間に感謝しながら、「追い上げられるのは想定内。追いつかれても攻める姿勢を貫けたと思います」と胸を張った。

 今春から指揮を執る森田重成監督(49)も「よく耐えたと思います。しんどかった~」。殊勲の黒田については「スライダーは捨てて、低めを狙っていけと指示しました。初見なのに、よくやったと思います」とたたえた。

 強豪を相手につかんだ白星で08年の創設以来、初の「夏2勝」。春16強の強さを証明した。【鈴木正章】