この男が戻ると、やっぱり据わりがいい。昨オフ右膝、右肘を手術した巨人長野久義外野手(30)が1軍に合流し、日本ハムとのオープン戦に「7番右翼」でスタメン出場した。5回の第2打席はファウルで粘って四球を選び、7回の第3打席は初球を左前打。中堅に回った守備でもしたたかなプレーを見せ、実戦勘の不安を一掃した。開幕まで1週間。チームに太い芯が入った。
打席の長野はボールがよく見えていた。左腕をグイッと引いた雄大なトップを、手術した右膝でピタリと止めた。5回2死の第2打席。追い込まれてからファウルで粘り、9球目を四球とした。「追い込まれてから、低めの変化球をしっかり見逃せた」と納得して迎えた第3打席も「らしさ」をのぞかせた。
マウンドには剛球のクロッタがいた。手術した右肘を絞り、初球の外角にスイングのラインを合わせた。「真っすぐが速い。思い切っていこう」と思惑通りで、負けじと左前にはじいた。「結果を求めて臨んだ」復帰戦。「久しぶりのドーム。たくさんの声援をいただいて」と、塁上の声援が染みた。
フィールド上の長野は戦況がよく見えていた。唯一の守備機会は、中堅に回った後の7回だった。ハーミッダの中前打に鋭く反応し捕球。コンパクトなフォームで二塁に送球した。走者の中田がオーバーランする可能性を見越し、刺そうと企てていた。二塁の西本塁審が一瞬ジャッジメントに迷うも、セーフとなった。「ちゃんと捕れるかな、と思って守備に就いていた。ちょっと出ていたので」。チームを何度も救ってきた嗅覚は、体にメスを入れてもさび付いていなかった。
ベンチの長野は仲間がよく見えていた。前列やや下座、指定席に陣取った。大きな声で鼓舞したり、ルーキー戸根の豊かすぎる大胸筋をもんだり。「リハビリは大変だった。体は問題なく大丈夫。良かったです」と、開幕まで1週間で輪に加われたことを素直に喜んだ。
ボールを見る目。戦況を見る目。仲間を見る目。この男の確かな技術と千里眼は、やっぱり巨人に欠かせない。「明日も結果を求めて」と貪欲に1軍復帰した長野を、原監督は「多少の不安はあるだろうが、全く見せない。評価できる」と迎え入れた。【宮下敬至】



