低迷する打線の点火へ、けん引役はキャプテンだ。悔しいサヨナラ連敗を食らった中で、阪神鳥谷敬内野手(33)が8回に一矢報いるタイムリーを放った。あと1歩のところで勝利には結びつかなかったが、勝負強いヒットマンが好調をキープすれば必ず浮上のきっかけをつかめるはずや。
むなしすぎる敗戦になった。2夜連続のサヨナラ負け…。鳥谷の勝負強い快打も報われない。「結果的に負けたので…。明日、頑張ります」。試合の最終盤。攻守でベストプレーを連発していた。それでも流れを変えられず、表情を崩さずにバスへと引き揚げた。
荒れ気味だが、しかし、球威がある大野の投球に苦戦した。的は絞りづらく、7回まで無得点。重苦しいムードを切り裂いたのがキャプテンだった。目の覚めるライナーが右翼線へと延びていく。完璧にとらえた鳥谷の弾道はすさまじかった。無得点のまま1点を追う8回。先頭西岡からの攻撃で1死二塁の同点機を築く。大野の初球だ。内寄り直球を強振すると矢のような打球をはじき返した。二塁から西岡が悠々と生還。適時二塁打でチームを覆っている閉塞(へいそく)感を打ち破ったかにみえた。
開幕から1番に座ったが6連敗になって、3番に配置転換された。猛威を振るった昨季と同じクリーンアップを組むが、打線は相変わらず湿ったまま。この日も土俵際まで追い詰められたところで執念の同点打。「ずっと0点で抑えられていたなかでしたし、いい場面で1本打てて良かった。チャンスだったから。その前の打席で凡退していたので、積極的にいった」。得点圏での適時打は今季8打席目で初めてだった。窮地で底力を見せつけた。
快打には伏線がある。7回1死。ルナの打球は大きくはずみ、中前に抜けようとした。これに目いっぱい左腕を伸ばしてグラブに収めると、体勢を崩しながらジャンプスロー。華麗で力強く、鳥谷しかできない芸当だった。接戦で1歩も譲らない意地があった。守備でリズムを作り、打撃に生かす。攻守で奮闘したが、勝ちにつながらなかった。
12日広島戦は8回に起死回生の今季1号逆転2ランを放っていた。和田監督は「数字は打率3割を割っているけど状態は悪くない」と信頼する。勢いをつけるはずが名古屋で連敗。チームは停滞したままだが百戦錬磨の鉄人は動じずグラウンドに立つ。【酒井俊作】



