財布の中身を使い果たして、約2カ月…。やっとこさ、貯金生活に戻った。「日本生命セ・パ交流戦」。日本ハムを振り切り、阪神を4連勝に導いたのはマット・マートン外野手(33)だ。5回に勝ち越し打、7回はダメ押しの適時二塁打。不振に苦しんだ昨季首位打者が迷いを断ち切り、猛打賞を決めた。首位巨人にも2・5ゲーム差とジワリ接近。いける、いける!

 グラブを持ったマートンが一塁側ベンチを飛び出した。甲子園全体を包み込むような「マートンコール」がこだまする。レフトへの移動は至福の時間になった。ファンは見捨てず、支えてくれていた。

 「自分としても感覚が良くなってきた。今日は良かったと思います」

 同点の5回2死一、二塁。日本ハム左腕吉川のスライダーへスムーズにバットが動いた。カウントは3-1。四球を考えず、攻めた結果が適時左前打になった。試合前時点で得点圏打率は2割1分6厘。悲しいデータを振り切った瞬間だった。

 マートン 今年に関してはストライクゾーンにボールが来なかったり、他の要因もあってわからない部分が多かった。どうしても後ろ向きに、守りに入ってしまうことが多かったんだ。

 言葉の通り、悩みの迷路に入り込んでいた。ある試合では打席内でタイミングの取り方を変更。左足を上げる従来のスタイルをやめ、つま先を1度右足側に寄せる「タップ」を導入した。体重移動の改善だったが、たった1日で断念。オマリー打撃コーチ補佐は「あんまり良くないね。だから元に戻したけれど、難しいね」とマートンの心情を代弁していた。この日の試合前には旧知の日本ハム・ハーミッダに気持ちの持ち方を相談。モヤモヤは数時間前まで確かにあった。

 マートン 自分としても打席の中で攻撃的に行きたい。そういうことが続いてくれば、結果も出てくると思うんだ。

 忘れていた打席で攻める姿勢は、2点リードの7回無死二塁ではっきりと思い出した。中堅左へダメ押しの適時打。ここもカウントは3-1だった。3安打2打点。時にはマンツーマンで苦悩に寄り添った和田監督も「今までの3本出たときと内容が違ってきている」と光明を感じ取った。

 今季最長タイの4連勝で4月6日以来、約2カ月ぶりの貯金「1」だ。指揮官からは「ここまで苦しんできたマートンが打って勝ったのは非常に大きい。明日からもマートンらしい打撃をしてほしい」と期待を受ける。ヒーローの心地よさを思い出したマートンに、純粋な笑顔が戻ってきた。【松本航】

 ▼阪神が29勝28敗で貯金を1とした。これは4月6日(同日は試合なし)の5勝4敗以来、62日ぶり。4連勝は今季最長タイで、5月26日楽天戦~同29日西武戦以来3度目。同一シーズンの交流戦で4連勝以上を2度は、05年(4連勝、5連勝各1度=同年は36試合制)以来10年ぶり2度目。阪神の最近5試合のチーム打率は2割9分7厘(165打数49安打)。それ以前の2割2分9厘から大幅アップしている。

 ▼マートンの猛打賞は今季4度目。チーム57試合目での到達は、12年の45試合目を超え来日最遅。とはいえ6月の月間打率3割3分3厘(21打数7安打)は、上本4割4分4厘に次ぎチーム2位で、セ・リーグ5位タイと上昇気配だ。