キングがのろしを上げた。広島ブラッド・エルドレッド内野手(34)が、楽天戦の6回に4号2ランを放ち、勝利に導いた。昨季本塁打王の1発で、チームは2カードぶりの勝ち越し。右膝半月板損傷で出遅れながら、出場15試合で4アーチ。第3子誕生を待つスラッガーは、低迷するチームのため、愛する家族のために快音を響かせる。
6回無死一塁。外角低めから逃げるスライダーにバットが出かかった。振っていない自信があったが、球審はスイングの判定。打席のエルドレッドは不服な表情を浮かべたが、打席を外し深呼吸。気持ちを静めて再び打席に入った。
「自分の中では(判定が)違うと思っていたが、それを引きずっていてもしょうがない。できるだけ集中して打席に入った」
カウント1-1から3球目。則本の外角低め直球。決して甘い球ではない。しかし冷静さを取り戻したE砲は、迷うことなくフルスイング。快音を残した打球は高々と舞い上がり、左中間コンコースに弾んだ。
空振り三振に倒れた4回の打席の反省が生きた。スライダーにバットが空を切ったが、2球目のフォークをファウルにした。「仕留めなければいけなかった。急いで動いていた。しっかり後ろに体重を残して打ちにいけた」。則本の146キロを引き付けた豪快なアーチに、緒方監督も「よく打ってくれた」と最敬礼だ。
この日の1発は、シンシア夫人へのエール弾でもあった。第3子(女児)を妊娠し、7月に出産予定。今日8日に帰国するため、この日が帰国前最後の観戦だった。「赤ちゃんが健康でいてくれたらいい。子どものためにもたくさんスラィリー人形をもらわないといけないね」。右膝半月板損傷で出遅れながら、出場15試合で4本塁打。お立ち台では「今年も本塁打王を取りたい」と、2年連続タイトル獲得を宣言した。3姉妹のパパとなる大柄なスラッガーは、優しい表情で本塁打量産を誓った。【前原淳】



