センター、上本! 阪神金本知憲監督(47)が28日、甲子園球場での秋季練習でサプライズを披露した。二塁手の上本博紀内野手(29)が中堅に入り、シートノックを受けた。あくまで本職は二塁手だが、出場チャンスを広げるため、外野にも挑戦させた。まるでキャンプのような2部構成の濃密練習では、走塁改革にも着手。変革を求める新監督のイズムが示された。
早くもキャンプが始まったかのような雰囲気だった。秋晴れの甲子園球場。フェニックスリーグ(宮崎)参加組も合流して秋季キャンプ参加者が集った。ベンチにはメニュー表まで張り出された。午前と午後の2部構成。冒頭には新監督が「練習から意識を変えていく。厳しくなるが、明るくやっていこう」と呼び掛けた。新コーチ陣も集う中、厳しく、明るい練習が始まった。
その中でも特に目を引いたのがシートノックだった。内野手の上本が中堅に入っていたのだ。金本監督は「外野やってみるかと。これはこっちから提案したこと」と説明。上本は「試合に出られるんだったら、どこでもチャレンジしたい」と応じたという。
金本監督はこう説明した。粘りのある強打と俊足が売りの上本は昨年途中から131試合に出場して、打率2割7分6厘とレギュラーに値する成績を残した。だが、今季は故障などもあり、108試合で打率2割5分3厘にとどまった。また二塁守備のミス(失策12)もあった。まずは上本にとっては出場機会を得ることが重要だ。そこで出場の可能性を広げる意味でも外野を守らせたようだ。
「(本人にとっても)チャンスが広がるし、チームとしてもケガ人が出たり、だれかが調子がガクンと落ちた時、だれかを休ませたい時にね。例えば(福留)孝介を休ませたい時に、上本が外野やっても全然ありだと思うし。ただ、もちろんセカンドがメーンで」
指揮官はあくまで二塁手が原則としながらも、具体的な例を挙げて、外野手・上本の可能性について言及した。
「あんまり外野やったことないから長い距離の投げ方わからないけど、肩も強いからね」
シートノックの動きはぎこちない場面もあったが脚力を生かした広い守備範囲は魅力的だ。固定観念にとらわれず、勝つために、あらゆる可能性を探っていく。
終了したのは午後3時前、緊迫感と元気が入り交じる中での5時間。「早い方がいいからね。動くには」。甲子園でスタートした“秋季キャンプ”は金本イズムが満載だ。【鈴木忠平】
◆阪神今季の外野事情 中堅で先発50試合以上は1人もいなかった。大和で開幕したが、新人江越、左打ちの伊藤隼も加え、先発投手に応じて起用されるパターンが多かった。上本の故障離脱にともない8月5日から大和が二塁に回るなど、シーズン通じて固定できなかった。左翼はマートンの守備固めに俊介が多く起用され、右翼は福留の休養時にのみ代役が先発した。
<阪神近年の新監督サプライズ>
◆99年春・野村監督「投手新庄」 抜群の身体能力を誇る名外野手新庄に、名将が仰天指令。安芸キャンプでブルペンに入り、オープン戦でも登板。剛速球を疲労したが、新庄は思わず「コントロールが難しい」とポツリ。
◆11年秋・和田監督「捕手・中谷」 大砲候補として外野と三塁の練習に励んでいた中谷が、安芸キャンプでブルペンに入り捕手を務めた。和田監督の「見たい」という希望に応じたもので、高校時代のポジションで器用さを見せた。



