侍ジャパンのエース前田健太投手(27)が、プエルトリコ打線を7回4安打無失点とねじ伏せた。前回11日メキシコ戦から中4日のマウンドだったが、13年WBCの準決勝で敗れた相手に雪辱を果たす完璧な投球。1カ月前にすでに準々決勝の先発を言い渡されていた男が、期待通りの投球で応えた。19日の準決勝、韓国戦は大谷翔平投手(21)を先発マウンドに送り、世界一に王手をかける。

 まさにエースの投球だった。ピンチはたったの1度だけ。1点リードした3回1死一、三塁。前田はチェンジアップで2番メンデスのバットをへし折り投ゴロに仕留めた。投-遊-一とわたり併殺を完成させ無失点で切り抜けた。

 負ければ終わりのトーナメント。この日の桃園球場は湿気が高く、蒸し風呂のような状態だった。「暑くてしんどかった」と汗が噴き出したが、初回から全力で飛ばし続けた。最速152キロ直球を軸に真っ向勝負。7個奪った三振のうち3個は150キロ超の直球を見逃したものだった。「本当の勝負は今日だと思った。今日勝たないと準決勝も見えてこない」。小久保監督からは1カ月前に早々と準々決勝での先発を告げられていた。意気に感じたエースは7回4安打無失点と最高の形で、指揮官の期待に応えた。

 立ち上がりは探りながら、相手が変化球待ちだと感じると捕手嶋と組み立てを替えて、的を絞らせなかった。13年WBC準決勝で敗戦した、忘れられない相手でもあった。「メンバーも違うし別のチームと思うが、そういう思いはしたくない。無失点でよかった」と、悪夢の悔しさを同じ国際大会のトーナメントで晴らした。

 前回11日メキシコ戦の名誉も挽回した。5回5安打2失点と踏ん張ったが「納得できる内容ではない。今シーズンで一番ひどかった」とばっさり切り捨てた。前回の舞台、天母球場は外野スタンドがなく外野からの強風でスライダーなど変化球をうまく操れなかった。この日は外野スタンドもあり、無風だったことで、思うような投球ができた。

 中4日で迎えたこの日は90球と余力を残し降板した。小久保監督は「この先は酷かなという思いはある。本人と話をします」と言う。前田本人も「どうですかね」と濁したが、21日決勝ではブルペン待機する。日本のエースが世界一へもうひと働きする。【石橋隆雄】

 ◆前田のプエルトリコ戦 13年WBC準決勝で対戦し、敗戦投手となった。1回にプレーボールの第1球を投げた後、球審から左手首にはめた数珠とバンドを外すように指示された。これでリズムが狂ったのか1死から連続四球、2死後に適時安打で先制点を許した。5回1失点と踏ん張ったが、打線の援護なく敗れた。今月5日の強化試合では、先頭打者からの4連続を含め3回8奪三振だった。