巨人今村信貴投手(22)が約2年ぶりにウイニングボールを手にした。今季4度目の先発で5回2/3を4安打無失点。勝ち投手の権利を得て中継ぎ陣にバトンをつないだ。14年6月9日ロッテ戦以来となるプロ通算4勝目を挙げた。エース菅野以外の先発投手が勝利投手になったのは、4月に入ってからは初めて。巨人先発陣に待望の伏兵が台頭した。

 今村が重いウイニングボールを受け取った。継投策で完成させた勝利のハイタッチ。2年ぶりの勝利投手は、列中の高橋監督から耳元で「毎回、途中で交代じゃないか」と指摘され「すみません」と頭を下げた。6回2死一、三塁とピンチを招き降板。4試合連続でイニング途中での降板を指示された。2番手宮国が後続を抑えたことで白星がついたが「勝利はうれしいですけど、課題がまだあります」と、反省の言葉が口をついた。

 昨季の自分が嫌いだった。1軍マウンドから遠ざかり2軍暮らしが続いた。同じ寮生で一緒にジャイアンツ球場に通っていた、左腕田口が1軍で躍動した。焦りしかなかった。仲良しの後輩の登板を応援するどころか、テレビを消した。今振り返ると覚悟もなかった。登板ごとにフォームをめまぐるしく変えた。「先輩投手のまねをしたり、いろいろした」。1軍登板なしで1年が終わり、小手先でごまかせる世界ではないと痛感させられた。

 今季は開幕ローテ外からはい上がり、この日、4度目の先発マウンドだった。5回まで被安打2。三塁を踏ませない快投で試合の流れを引き寄せた。オフの自主トレ、キャンプ中と「今年はこのフォームでいく」と気持ちに太い芯が刺さった。自分自身が映る鏡の前で固めたフォームで制球力も増した。17アウト中1併殺を含む12個がゴロアウト。数字も証明した。

 4月に入ってからの16試合は6人の先発投手が登板し、勝利したのは菅野(2勝)だけ。17試合目で今村が白星を挙げたことで、孤高のエースの脇を固め、首位を走るチームを勢いづける好材料となった。若き戦力の投球を、高橋監督は「今日も良い投球でした。毎回あと1人というのが課題」とあえて注文も付けた。やっとつかんだ価値ある白星。課題も詰まった記念球は、意味深いものになった。【細江純平】

 ▼今村が14年6月9日ロッテ戦以来、プロ通算4勝目を挙げた。この日の被安打4本はすべて左打者。今季の今村は左打者には被打率3割7分も、対右打者は56打数9安打の被打率1割6分1厘で、右打者には適時安打をまだ1本も許していない。左腕の今村が右打者を抑えてローテーションを守っている。