プレーバック日刊スポーツ! 過去の5月15日付紙面を振り返ります。2008年の1面(東京版)は阪神新井選手の本塁打でした。

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<広島2-4阪神>◇2008年5月14日◇金沢 

 新井が打てば虎は無敵だ。阪神新井貴浩内野手(31)が、古巣広島相手に初の一発となる4号2ランで試合を決めた。新井が打点を挙げた試合は16連勝で、依然負け無しの神話弾。この1発で新井は12球団すべてから本塁打を打った。北陸・金沢での試合で、予想以上につめかけたファンが球場に入れず、異例の払い戻しを行うトラブルまで発生した。これも加速する虎フィーバーゆえの現象か―。

 手ごたえは十分だった。球場を、風を、そしてファンを味方につけた。阪神に移籍後、広島戦7試合目でついに出た古巣からの初アーチ。どうしても欲しかった追加点を呼ぶ1発は、通算200号まであと2本と迫り、12球団すべてを制覇する今季第4号。黒星を喫した翌日、新井のバットがまたしてもチームを勝利に導いた。

 7回2死三塁。平野の内野ゴロで勝ち越しに成功した直後だ。広島大竹の真ん中に甘く入ったカーブを振り抜いた。打球は降り始めた雨に逆らうように金沢の夜空に上がる。両翼91・5メートルの狭い球場に軽々と放り込む2ラン。甲子園の浜風と同じく、ライトからレフト方向に吹く日本海からの風にも後押しされた。

 新井 自分の状態としてはよくはなかったんですが、チャンスだったし、三塁ランナーもいたから何とかもう1点と思った。気持ちを入れて入りました。シモさんも頑張って投げて下さっていたので、打ててうれしいです。

 9打席ぶりのヒットだった。前夜、アニキと慕う金本が、負け試合の中で400号の偉業を達成した。一方の新井は4打数無安打。打てなかったことが敗戦に結びつき、鉄人の記録も祝えなかっただけに、どうしても勝ちたかった。

 相手が広島だという過剰な意識もなくなっていた。ビジターゲームだが北陸での3連戦とあって、毎打席のブーイングはなかった。逆にスタンドを黄色く埋め尽くした阪神ファンの声援に後押しされた。前日の試合前には、かつて同じユニホームに袖を通した仲間やスタッフらと笑顔であいさつ。球場関係者からのサインの求めにも、気軽に応じていた。

 古巣からのここぞの1発に岡田監督も目を細めた。「この(狭い)グラウンドで風があると何が起こるか分からない。あの2ランは大きかった。1点だけなら下柳をもう1回行かそうと思っていた。3点差になったからな」。新井の追加点があったからこそ、JFKへの投手リレーも実現した。

 これで新井が打点を挙げた試合は今季負けなしの16連勝だ。それでも不動の3番は「(投手陣が)しっかり抑えてくれてますからね」と、持ち上げて謙虚な姿勢も変わらなかった。

 ◆北陸での阪神戦 最近では広島主催の広島―阪神戦が06年6月27日に福井、同28日に富山で行われている。金沢では01年5月24日に中日―阪神戦以来、7年ぶり。金沢での広島―阪神戦となると、97年7月1日以来だった。

※記録と表記は当時のもの