両膝に手を置いた大谷を横目に、ゆっくりと一塁へ向かった。西武中村剛也内野手(32)が同点の7回無死一、二塁からバックスクリーン左にたたき込む決勝の6号3ラン。フォークを完璧に捉えた1発に「打った瞬間入ると思った。ずっとチャンスで打ててなかったので、本当に打てて良かった」と安堵(あんど)の表情をみせた。

 好機で迎えていた前の3打席を含め、今季の対大谷は6打席連続で三振を喫していた。試合前の時点での得点圏打率は、規定打席到達者の中で最低の1割8厘。「自分でも(数字は)分かっていましたし、今のチーム状態になっているのは、僕の責任もすごくある」。日本最速右腕への特別な意識は「ないですよ」としながらも、最下位に沈む責任を背負っていた。

 右手首打撲により前2試合でスタメンを外れていた4月24日。4番論を口にした。「調子が良くないときに、周りから『打てていない』って言われるのは当たり前。4番はそれを受け止めないといけない。当然悔しさとか責任とか、いろんな思いがありますけど、一喜一憂せずに気持ちのバランスをいかにとるか。(本塁打、打点の2冠だった)去年はそれが出来ていたんですよね」。打てないもどかしさは押し殺し、1打席に集中する。バットに込めた4番としての覚悟が、この日の1発につながった。

 連敗を4で止め、負ければ借金2ケタの窮地を救った会心のアーチ。今季初の2戦連発に「力みなく、軽く、いいスイングが出来た」とうなずいた。疲労蓄積から、ウオーミングアップ中に1人別メニューでストレッチを行うなど、コンディションは万全ではない。それでも「バットでしっかりチームを引っ張っていきたい」と力を込めた。チーム浮上に、この男の一振りは欠かせない。【佐竹実】