巨人のエースは、身も心も強かった。菅野智之投手(26)が、両リーグトップの5度目となる完投で約1カ月ぶりの6勝目。前回対戦で9失点KOされたDeNAに雪辱した。「リベンジできて良かった。チームにとっても、いい勝ち方ができた」と追い風を感じる1勝で、チームを2位に浮上させた。

 新たな大逆転ドラマの台本を描いた。3点勝ち越した直後の9回。1死から筒香を打席に迎え、最高のシーンが始まった。111球目での151キロ超えで沸かせ、5球目に最速の153キロでファウル。6球連続150キロ超えとなる151キロ速球で空を切らせ、この日の東京ドームの「瞬間最高視聴率」を奪った。

 96年7月9日の広島戦での9連打が「メークドラマ」の始まりだった。あの日から、ちょうど20年。菅野が刻んだ「魂の150キロ6連投」は、流れを変える1シーンとなる可能性を秘める。「ありったけの力をぶつけた。いい勝負ができた」。ロペスも空を切らせ、自己最多の13奪三振で16年版の第1話を完結した。

 「体が思うように動かなかった」と振り返ったDeNA戦での敗戦後、コンディション調整を重視した。登板翌日に体内に酸素を送り込む「高気圧酸素治療」を受け、疲労を回復。「寝込むくらい、へこんだ」と言ったが現実から逃げず、復調の道を模索した。登板前には「こんなに体調がいいのは、いつぶりかな」と全快を強調。123球の完投劇で証明した。【久保賢吾】