巨人を倒すのが、エースの定めだ。阪神岩貞祐太投手(25)がまたまた巨人戦で8回1失点と快投し、今季8勝目を飾った。プロ初完封勝利も挙げた巨人戦は3戦2勝で防御率0・75とGキラーを襲名する勢いだ。シーズン規定投球回にも達した「超変革」投手の象徴に、金本監督は来季は先発陣の軸になれると期待を高めた。
注文通りのダブルプレーだった。6回。岩貞は先頭の代打吉川に四球を許して迎えた1番長野を迎える。フルカウントからの7球目。チェンジアップを低めに決めた。引っかけた打球をグラブに収め、二塁転送から併殺。この2つのアウトで3年目で初のシーズン規定投球回に到達。メッセンジャー、藤浪、能見に続き、先発としてフル稼働した証しを立てた。
「自力というよりも、よくないときもチャンスをもらっていたので達成したという感じはないです」
個人的な数字については控えめな左腕だが、先発投手として意義のあるハードルを越えた。新たな称号も手にしつつある。雨がぱらつく中、序盤から飛ばしまくった。失点は7回村田に浴びたソロ本塁打だけ。8回1失点にまとめ、チームを本拠地巨人戦初勝利に導いた。
「甲子園で勝てていないのは知っていたし、絶対に勝ちたかった。最初に(点を)取ってもらって、思い切っていきました」
今季はこれで8勝9敗となったが、巨人戦に限れば3試合で2勝0敗、防御率0・75。5月27日の東京ドームでプロ初完封もやってのけた。甲子園で大きな顔をされ続けた宿敵に、岩貞だけはしっかりと苦手意識を植え付けた。
子どもの頃の野球中継は巨人戦ばかりだった。ちょうど10年前。中学3年生のときに、母多恵子さんと車に乗り込み、熊本の実家から約2時間かけて巨人の宮崎キャンプを訪れた。食い入るように練習を見つめ、ノックを受ける同じ左腕の高橋尚成から手を振られた。ただ、今は憧れではない。特別な相手。宿敵だ。
4年目の来シーズンは立場が変わる。金本監督は「今年経験したことを来年どう生かしていくのか。彼が中盤勝てなかった、打たれたときに何が原因なのか。体力なのか、バランスなのか。メンタルなのか。ちゃんと自己分析することが来年につながると思う」と、あえて厳しい言葉を投げかけた。Gキラーの系譜を受け継ぐ先には、左腕エースへの成長も期待される。その素質は十分に感じさせた。【桝井聡】
▼岩貞が巨人戦で2勝目を挙げた。24イニングで自責点2、対戦防御率は0・75。今季の巨人戦で20イニング以上投げた投手と比べると(2)ジョンソン(広島)1.20(3)バルデス(中日)1.59らを抑え堂々の1位だ。2失点はいずれも本塁打でこの日の村田と8月21日小林誠の2発。3試合で9度あった得点圏での投球で、適時打は1度も許していない。
▼阪神は今季の甲子園での巨人戦で、11試合目にして初勝利。同一シーズンでの球団ワースト記録(初戦からに限らず)を更新する9連敗を喫していたが、ようやく止めた。なお2リーグ分立後の甲子園での巨人戦最少勝利数は1勝で、50、91年と2度記録。残り2試合でワーストタイ脱出を図る。



