金本阪神3年目のキャンプは「乱世」だ。複数のポジションで定位置を競い、まさに戦国時代だが、まずチームの浮沈を握る最大のポイントを2つ挙げたい。新外国人ロサリオの実力と過去2年、不本意な成績が続く藤浪の復調だ。2人が活躍すれば昨季に比べて大幅な“補強”が成功する。

 ロサリオはメジャー通算71本塁打を放ち、捕手としても期待された有名な打者だった。昨季まで韓国・ハンファでプレー。2年連続3割30本塁打100打点をマークするなど、パンチ力に期待が集まる。同じドミニカ共和国出身で、旧知のドリスも「長打力もあるし、コンタクトもできる打者」と太鼓判。キャンプ報道では「柵越え数」がクローズアップされがちだがミート力も伝えていきたい。

 藤浪は巻き返しを期す。過去2年は7勝、3勝止まりで不本意だった。オフはダルビッシュらと米国で合同自主トレを行い、1月下旬に会った金本監督も「楽しみにしてるわ」と声を掛けた。米国ではメジャー最高左腕のドジャース・カーショー直伝のカーブなどを投球。仕上がりも早く、今季初実戦の2月7日紅白戦に登板する可能性もある。

 フィールドを見渡せば、あちこちで火花が散る。見どころはセンターラインのバトルだ。二遊間は打力に秀で、二塁に専念する大山を軸とした戦いになり、遊撃はベテラン西岡と逆襲を誓う北條、糸原、植田らがひしめく。金本監督は「誰か1年間、コイツで行くというものを見せてくれたら」と話す。中堅は昨季20本塁打の中谷と16年新人王の高山が激突し、経験豊富な俊介も有力候補だ。正捕手争いは梅野と坂本を中心に続くなか、まだ一本化は現実的ではない。最後にホープを挙げる。プロ2年目の才木とドラフト1位馬場だ。若さを前面に押し出し、狭き1軍枠に食い込みたい。【阪神担当キャップ=酒井俊作】