中日松坂大輔投手(37)が338日ぶりの実戦登板で、パーフェクト投球を披露した。26日、韓国・ハンファとの練習試合(北谷)に志願して2番手として3回から登板。1イニングで2三振を奪い、無安打無失点。球団のスピードガン計測で最速143キロをマークした。上々の中日デビューを経て開幕ローテ入りへ、また1歩前進した。

 「ピッチャー、松坂大輔~!」とコールされると、北谷球場が大きな拍手で沸いた。松坂の1球1球に集まった2000人が注目した。先頭の右打者を外角低めのチェンジアップで空振り三振。2人目の左打者は外角低めにズドンと143キロ直球を決め、見逃し三振。さらに元韓国代表の左打者は内角143キロ直球で詰まらせ、遊飛に打ち取った。「コールされて、拍手をされて、うれしかった。1軍の公式戦で拍手がもらえるように、しっかり頑張りたい」。再起への11球はパーフェクト投球だった。

 テスト入団した松坂は、今キャンプをスロー調整で進めてきた。1度、打撃投手を務めたが、実戦形式での登板はなかった。「周りと同じ調整をする必要はない。もっとこまめにブルペンに通うつもりだったけど、必要性を感じなかった。試合に投げても大丈夫というのがあった」。3月4日の楽天とのオープン戦(ナゴヤドーム)で実戦デビューの予定が立っていたが、キャンプ中の登板を志願。前日25日に予定変更した。

 降雨ノーゲームになった25日の登板予定投手のやりくりもあり、韓国・ハンファに交渉。特別ルールを認めてもらい、中日のみ延長11回の守備に就いた。

 実戦のマウンドは昨年3月25日のオープン戦広島戦以来、338日ぶり。プロ20年目を迎える右腕は「緊張はないけど、試合前とかどういう時間で過ごしていたかな? と考えながらでした」と記憶を呼び起こしながら準備。それでもマウンドに上がれば、日米164勝を重ねた実績通りの快投を見せた。森監督は「本人は最後のつもりでやっていると思います。順調にきたと思います」とうなずいた。

 何より、今キャンプ通じて明るい表情で過ごせていたことが順調な証しだ。次回は3月4日の登板が濃厚。復活ロードを歩む松坂の足音が、確実に大きくなってきた。【宮崎えり子】