矢野阪神が6月19日の開幕から5カード連続ビジターで戦う可能性が高いことが27日、分かった。東京ドームから神宮、横浜、ナゴヤドーム、マツダスタジアムと西に転戦する。また、日本野球機構(NPB)はこの日、6月2日初戦の練習試合の日程を発表。来月9日の広島戦から開幕をはさんで約1カ月間、敵地試合が続き、甲子園開幕は7月7日の見込みとなった。本拠地帰還までどう乗り切るか。異例のシーズンは、試練の船出となりそうだ。

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異例の2020年シーズンが、異例の長期ロードでスタートする。開幕カードは、セは当初予定から開催地を首都圏に変更する案が最有力。阪神は東京ドームの巨人戦が予想される。その後は神宮、横浜、ナゴヤドームと続き、甲子園を飛び越えてマツダスタジアムへと戦いの場を移す。セ・リーグ全5球団の対戦がすべてビジターで始まる超異例、阪神史上初のスケジュール。本拠地甲子園の開幕は7月7日の七夕までずれ込む。

今季は143試合から23試合減の120試合制。交流戦も球宴もなく、11月21日の日本シリーズ開幕まで例年に比べてハードな日程が予想される。しかも開幕から5カード連続ビジター。もともと阪神は敵地が得意ではない数字が残る。開幕ダッシュの重要性が叫ばれるなかで、1度つまずけばズルズルと行きかねない。しかもこの日、発表された開幕までの練習試合日程によると、6月9日の広島戦から1カ月近くも敵地の試合が続くことになる。

異例ずくめとなる今季の戦いだが、虎の将はブレない。120試合のヤマ場を問われた矢野監督は「僕の理想としては1試合1試合、自分たちで全力を尽くして戦っていく」と力強く宣言した。開幕ダッシュの重要性を説きつつ、一戦必勝を強調。近日中には紅白戦を開始し、2日の広島戦(甲子園)から練習試合も始まる。今季構想の肝でもある2番近本を貫いて開幕の準備を整える。

希望もある。NPBは政府の方針に従い、無観客から有観客へ移行する計画を練っている。早ければ7月10日から上限5000人の観客を入れる。7月7日の甲子園開幕から数カードは同球場での開催が予想され、虎党がスタンドに帰ってくる可能性もある。甲子園開幕を前に、昨季30勝36敗5分けと負け越したビジターをどう乗り越え、いくつ貯金を積み上げることができるか。チームの命運を握る試練の5カード15試合になりそうだ。

▼97年以降の夏の長期ロード期間の、阪神の通算成績は212勝237敗11分けで勝率4割7分2厘。このうち京セラドーム大阪では61勝46敗1分けで5割7分の好成績。同球場以外だと151勝191敗10分けで4割4分2厘と大きく悪化している。近年は京セラドーム大阪でロード中に主催試合を行うことが定着している阪神にとって、同球場を使わない純粋ロードは試練の船出となりそうだ。

▼97年の京セラドーム大阪(当時の名称は大阪ドーム)開場以降、阪神が5カード連続15試合でビジターとして戦うのは過去2度。(1)98年8月4~20日(横浜、神宮、ナゴヤドーム、東京ドーム、倉敷・広島)で、この間3勝12敗。初戦の横浜戦から4カード目巨人戦まで12戦全敗し、最後の広島戦で3連勝。(2)00年8月4~20日(広島・倉敷、神宮、ナゴヤドーム、東京ドーム、横浜)は6勝9敗。12日中日戦から8連敗フィニッシュだった。いずれも高校野球のため甲子園を明け渡す、長期ロード中。

◆阪神昨季の対セ成績()内は敵地本拠地球場

巨人 10-15-0(5-8-0)

DeNA 16-8-1(8-4-0)

広島 13-12-0(5-7-0)

中日 10-14-1(4-7-1)

ヤクルト 14-9-2(5-4-2)