スターロードの第1歩を踏み出した。楽天ドラフト2位の黒川史陽内野手(19)が4日、オリックス10回戦(楽天生命パーク)で初の1軍昇格から7番二塁で即スタメン出場。2回無死満塁での初打席で右犠飛を放ち、初打点を挙げた。目標とする先輩で決勝弾を含む2発を放った浅村栄斗内野手(29)ともに初のお立ち台。奈良から仙台へ駆けつけた父洋行さんへ、成長した姿を見せた。

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本当に19歳なのか…。黒川が貫禄たっぷり?に自らの野球史を刻んだ。1点を追う2回無死満塁。最高の場面でデビュー打席。初球。オリックス山岡の宝刀縦スライダーを見切った。2球目。見逃せばボール気味の真ん中低め143キロ直球をすくった。「最低限の仕事はできたと思います」。同点右犠飛で生還した鈴木大に頭をたたかれ、白い歯をこぼした。

初物だらけの1日を駆け抜けた。前夜に連絡を受け、プロ初の1軍昇格。7番二塁で初のスタメン出場。初打席初打点から4回に左飛で初凡退。6回には初三振を喫した。初のお立ち台で試合前に「頑張れよ」と声をかけてもらった浅村と並んだ。「試合に入っていく緊張感、野球の怖さ、厳しさを知っている方。1球1球を大事にしていると感じた」と学びも得た。

周囲も可能性を高く見積もる。三木監督は「今日1日あったことを一生忘れないで、チームを代表する選手に育ってもらいたい」と言えば浅村も「19歳とは思えない。すごい存在になる」と口にする。球団3人目の春季キャンプ1軍スタートで完走。内田、オコエ、西巻に次ぐ高卒新人野手のスタメン出場。期待に比例して、記録もついてくる。

9回2死。オリックス福田の正面へのゴロを初失策し「最後ひやっとさせてしまい申し訳ありません」と初謝罪。スタンドで見守った父洋行さんは上宮で三木監督の2学年先輩で93年センバツ優勝時の主将。父の影響で野球に熱中しプロの舞台までたどり着いた。「19歳の黒川です! また明日からもっと勝てるように頑張ります!」。希望あふれる19歳。何もかもが財産だ。【桑原幹久】