オリックスに連勝し、3カードぶりカード勝ち越しを決めた楽天三木肇監督(43)が、期待の2人にあえて苦言を呈した。2戦連発となるランニング本塁打を放った辰己涼介外野手(23)はその他の3打席すべて三振。指揮官は、スピードを生かすための出塁率アップを求めた。3回降板となった石橋良太投手(29)にも、先発として試合をつくるように訴えた。

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連勝後だというのに、三木監督の表情に会心の笑みは浮かんでいなかった。もちろん勝つに越したことはない。ただ今後の楽天を投打で引っ張っていくべき2人のプレー内容が、もろ手を挙げて喜べるものではなかった。

18年ドラフト1位の辰己は5回の打席で右翼フェンス直撃の8号ランニング本塁打。フェンスからはね返った打球が、捕球しようとジャンプした吉田正の頭に当たって右中間方向へ転がり、その間に快足を飛ばして本塁まで駆け抜けた。三木監督が思うのは、なぜその足を他の打席でも使わないのか、ということだ。

第1、第2打席は見逃し三振。8回の第4打席は比嘉の内角スライダーにバットが空を切った。辰己は一発か三振かという打者ではない。そう考える指揮官は「長打を打てるのも彼のいいところですけど、やっぱりスピードを生かすためには出塁も大事になる。(ランニング本塁打で)足も生きたは生きたんですけど、そしたら他の打席は? という話になる」と、やや残念そうに話した。

先発石橋は、3回までに4安打3四死球と毎回走者を出した。失点は初回、モヤの2ランだけだったが、わずか3回66球で降板させられた。昨年8勝して“プチブレーク”。伊藤投手チーフコーチも「今年一番期待して、一番心配していた投手」と最も期待していた。だがこの試合でも「上体が突っ込んでボールが上ずってしまいました」と好調時のフォームを見失い、試合をつくれていない状態だ。

三木監督は「週1回チームの代表として先発しているわけだから。もちろん難しいんだろうけど、その中でしっかり週1日、先発投手としての仕事をしてほしい」。2人の成長なくして、チームが常勝軍団になることはありえない。そう思うからこその指揮官の言葉だった。【千葉修宏】