ヤクルトが“天敵”を打ち崩し、連勝で日本シリーズ進出に王手をかけた。

「2021 JERA クライマックスシリーズ セ」ファイナルステージ第2戦で、塩見泰隆外野手(28)が2安打3打点。連夜のお立ち台に上り、「シリーズ男」ぶりを発揮した。チームは今季4試合で1得点、未勝利だった巨人菅野から5得点。一丸となって、大一番で結果を残した。

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切り込み隊長が2日連続で神宮を駆け抜けた。3回先頭で迎えた第2打席。中堅右に打球を放った塩見が、果敢に一塁を回って二塁打に。6回2死満塁の第4打席では、カウント2-2から甘く入った145キロ直球を鋭くスイング。「ストライクゾーンに来たら振っていこうという意識だった」とシンプルに、左中間を破る3点適時三塁打を放った。笑顔で右腕を突き出してガッツポーズ。その目線の先には大喜びで沸く一塁ベンチの仲間たちがいた。

1番中堅として不動の地位を築く傍ら、チームを明るく照らす。塩見が発端の「フェラーリのポーズ」はチーム内で大流行。高津監督までも両手をまねき猫のように掲げ、喜びを表現した。本拠地神宮での第1打席時の登場曲は「関東G1ファンファーレ」。観客の手拍子に背中を押され、試合のスタートを切る。1日の今季最終戦では第2打席の登場曲に人気アプリゲーム「ウマ娘プリティーダービー」の曲である「うまぴょい伝説」を選択。2打席連続の“馬ネタ”に、スタンドやSNS上がざわついた。プレーでもムードでも、先頭に立って勢いをつける。

前日の第1戦では、村上の遊飛で三塁からタッチアップする“神走塁”で先制のホームを踏んだ。バットでも2安打1打点。合計で9打数4安打4打点と、連日の活躍となった。シーズン終盤は9戦無安打も経験し、不振にあえいだ。「試行錯誤しながらやってきたのがいい形につながっている。でも基本的にはマグレ」と笑った。

これで日本シリーズ進出に王手。最短12日に、20年ぶりの日本一への挑戦権を得られる。先頭打者としてやるべきことは変わらない。「積極性を忘れずに、自分らしくどんどん攻めていきたい」と前を向いた。狙い球が来たら、最初から振っていく。初回の初球から目が離せない。【湯本勝大】

▽ヤクルト高津監督(巨人菅野から5得点で連勝)「正直、菅野投手なので。ただやっぱり四球であったりバントであったり、一塁まで全力疾走でセーフになるとか。そういうところのつなぎ。打ち崩した感じはしないが、出塁や進塁がよくできたと思う」