<パ・CSファイナルステージ:オリックス3-3ロッテ>◇第3戦◇12日◇京セラドーム大阪

オリックスがクライマックスシリーズファイナルステージを突破し、96年以来、25年ぶりの日本シリーズ進出を決めた。1点を追う9回、途中出場していた小田裕也外野手(32)が奇襲のバスターで一塁線を破って同点打を放った。

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スペシャリストに生きる。オリックス小田は今季自身最多の101試合に出場したが、先発は2試合。何度も聞いた「スタメンと変わらない準備だよ」。ギラつく胸中を抑え、心を整える。今季の安打は6月1日阪神戦(甲子園)での1本だけ。代走、守備固めとして1年間、ベンチ最前列で戦況を見守る「必要戦力」だった。

代走直前には狭いベンチ裏通路でジャンプを繰り返す。「準備できてなくて、迷惑かけるといけないから」。この日、決めたバスターは、フリー打撃の初球で必ず練習する。「誰でも、攻めたミスはある。ただ、僕らの立場は…。信頼を積み上げるのは大変だけど、失うのは一瞬だから」。日本シリーズ進出を決める一振りは「積み重ねた準備」によるものだ。

32歳。渋みが増した顔で笑う。「やっと、チームの輪に入れた」。ラストピースがはまった。【オリックス担当=真柴健】

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