楽天田中将大投手(33)が、7回8安打2失点の好投でチームの窮地を救った。

【スコア】プロ野球スコア速報>>

本拠地では昨年5月1日ロッテ戦以来の339日ぶりの白星を挙げ、今季2勝目。チーム内では開幕から選手9人、コーチ1人、合計10人の新型コロナウイルス陽性が判明し、2日から2試合が中止になった。再開初戦。混乱を鎮めるかのように、落ち着いた投球で西武打線を打ち取り、長男が大ファンの鈴木大地内野手(32)の適時打で挙げた先制点を守り切った。

   ◇   ◇   ◇

“憧れのヒーロー”とのお立ち台に、田中将は頬を緩ませた。「隣に立たせていただいて。息子が喜んでいます」。3安打3打点で援護してくれた鈴木大地内野手へ目配せ。家族が喜ぶ1日となった。

この春小学校に入学する長男は“大地愛”にあふれる。小学校で使う色鉛筆の名前欄には「田中」ではなく、「鈴木大地」と記入。背番号7にこだわり、順位は常に7位狙いで、オムライスの上にはケチャップで「7」。入浴時は7秒で湯船を上がる。熱狂的な応援を知った鈴木大から、自身の野球道具を贈られると、父親としてお返しを渡す仲。パパとヒーローの2人で勝利を引き寄せた。

チームはコロナで揺れたが、パパはピンチに動じなかった。2点リードで迎えた3回、先頭から連打を浴び、無死一、二塁のピンチ。失点すれば流れを渡しかねない場面で、ギアを1段上げた。眼光鋭く、捕手炭谷からのサインにうなずく。呼吸を整え、腕を振り切った。オグレディにはこの日最速の151キロで見逃し三振。続く源田は初球の150キロ直球で詰まらせて中飛。中村へは1ストライクの2球目で、普段は投げないカーブで左飛に打ち取った。「僕がこういう言い方するとあれだが、(捕手)銀仁朗さんのうまさ。バッターもここでか、というのは絶対あったと思う」とうなずいた。

今季2戦2勝で日米通算183勝。石井GM兼監督の同182勝を超えた。実績と経験と能力で、どんな状況でも頼れる存在としてマウンドに立ち続ける。「何番手で投げようが、自分が先発の先頭に立ってやるという気持ちはある。苦しい時こそ前を向いて、いい雰囲気でやっていきたい」。9年前に球団史上初のリーグ優勝と日本一へ導いたみんなのヒーローが、チームを踏ん張らせた。【湯本勝大】

楽天ニュース一覧はコチラ>>

▽楽天石井GM兼監督(田中将の投球に)「僕の印象で言うと、今日はちょっと苦しい立ち上がりかなと思った。試合の中で自分を全部しっかりと調整して、ピンチのところでは集中力を上げる。7回まで2失点で持ってきてくれるあたりは、さすがだなと思います」

▽楽天マルモレホス(3回1死一、二塁で右翼へ適時打を放ち、来日初打点)「甘いゾーンに入ってきた球をうまく打つことができたよ。いいところに飛んでくれたね。打ててよかったよ」