鷹の“隠し玉”が、いよいよお披露目だ。

ソフトバンク田上奏大投手(19)が、12日のロッテ戦(長崎)でプロ初登板、初先発に挑む。10代で1勝を刻めば、12年の武田翔太(当時19)以来10年ぶり。この日、同球場で最終調整を行った田上は「もう思いきってプレーして、楽しんでやっていきます」と、初々しく意気込んだ。

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20年ドラフト5位で入団。昨オフに育成契約も、4月7日に支配下再登録されたばかりだ。履正社(大阪)では、肩の強さを買われて高3春に外野手から投手に転向したが、公式戦登板はゼロ。ウエスタン・リーグも通算3試合の登板のみだが、最速154キロの直球を評価され、藤本監督が1軍デビューを推薦した。「正直、まだ夢のような話だと思っています」。異例のスピード出世で、高卒2年目の19歳がベールを脱ぐ。

発奮材料はある。10日にロッテ佐々木朗が、20歳で完全試合を達成。「映像は見ました。化け物だな…と。1個上の選手でも、あれぐらいすごいことを成し遂げた。自分も頑張りたいし、夢をもらえました」。同じ若き右腕を刺激に、田上も1軍マウンドに上がる。

石川が右足首のコンディション不良で抹消され、巡ってきたチャンス。「支配下の電話が来た時は寝られなくて、次の日にめちゃくちゃしんどかった。今日は何が何でも寝ます!。絶対寝ます!」。チームは貯金「8」で首位。新星が、その勢いを加速させる。【只松憲】

◆田上奏大(たのうえ・そうた)2002年(平14)11月26日、大阪市生まれ。敷津浦小2年で「バイキングジュニア」で野球を始め、オリックスバファローズJr.にも所属。住之江中では西成ボーイズに在籍。履正社では1年秋からベンチ入りし、3年春から投手転向。20年ドラフト5位でソフトバンク入り。今季はウエスタン・リーグ開幕戦だった3月18日オリックス戦に先発し、5回無失点で勝利投手。185センチ、88キロ。右投げ左打ち。今季推定年俸は600万円。

○…斉藤1軍投手コーチは、田上が「千賀2世」になることを期待した。投手練習を見守り「千賀の後継ぎ。本格派なので、ああいう道を歩んでくれたら一番いいかなと思います」。エース千賀もプロ2年目の12年4月に育成から支配下登録され、同月に1軍デビュー。今回の田上と、境遇はぴったり重なる。同コーチは「本来持っている力さえ出せれば、十分にやっていける」と背中を押した。