9月に入り、ペナントレースも佳境に入った。1勝や1敗の重みが増す中で、5位からの逆襲を狙うロッテでは山本大斗外野手(20)が「1軍の勝利に貢献するのが今年の目標です」と2軍できばを研ぐ。7月末に支配下登録されたスラッガーは、8月中旬以降のイースタン・リーグ11試合だけで本塁打5本を量産。オンラインインタビューで好調の要因や思いを尋ねた。【金子真仁】

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山本の勢いが止まらない。8月30日の2軍ヤクルト戦(ロッテ浦和)で、プロ通算182勝の大ベテラン石川から本塁打を放った。

多彩な球種で低めやコーナーを突かれての4球目。「まっすぐをもちろん打ちに行って、浮いた変化球を行ければという意識でいたんですけど、たまたまというかチェンジアップをいい感じで待つことができて良かったです」

外へ逃げるチェンジアップに、どっしりとした下半身で粘り、左中間のフェンスを越した。

1番打者を任された翌31日には、第1打席でヤクルト山下からいきなり左中間フェンス直撃の二塁打を放った。「まっすぐが強い投手だったので、まっすぐに合わせながら低めの変化球をケアしてって感じで」。プロ2年目、20歳。簡単には崩されない打者になりつつある。

20年育成ドラフト3位で開星(島根)から入団し、その1年半後に支配下選手になった。今季の登録期限ぎりぎりの7月には、3日連続本塁打。「とにかく打撃をアピールすることだけ考えて臨んでいたので」。猛アピールに成功するハートと技術が備わってきた。

1年前。2軍では華々しく、プロ初打席初本塁打からスタートした。ただ、ずっと勢いに乗っていたわけではない。内心、怖さもあった。「去年は追い込まれてから当てにいくことだけが多くて。三振したくない気持ちが強くて、当てにいってたので」。そこを割り切り、三振も増えたが、飛距離も出てきた。

2歳先輩の山口航輝外野手(22)が道しるべになる。山口はここに来て1軍の4番に座り、8月末時点で2けた本塁打まであと1本と迫っている。「山口さんの結果を超えないと、1軍では出られないと思います。山口さんをまずは超さないとダメ、という意識をもってファームでもやってます」と鍛錬に励む。

背番号は124から「61」に軽くなった。61番の印象は。

「カクさんに、何か言われた気がします(笑い)」

06年の大学・社会人ドラフトの7巡目で指名され背番号61からスタートした角中勝也外野手(35)は、首位打者を2度獲得するなど、一気に上り詰めた。「自分も、背番号が受け継がれるように。61番が出世番号って言われるくらいの選手になりたいですね」と夢見ている。