ソフトバンクが球団初のペイペイドーム開幕6連勝を飾った。先発の和田毅投手(42)が6回途中3安打2失点の粘投で今季2勝目。93年に福岡ドームが開業して30周年の節目で、新たな歴史を作った。先発が5イニング以上を投げるのは6試合ぶりで、チームの連敗は5でストップ。負ければ貯金0の危機で、大ベテランの救い投げが光った。

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「魔の5回」を迎えても、百戦錬磨の左腕には関係なかった。1点リードで伊藤裕、山崎、炭谷をあっさり3者斬り。鬼門を超え、5回2/3を3安打2失点にまとめた。「本当はね、やっぱり6回完了はしたかった。監督にも『したかったなぁ』という話をされて『その通りです』と」。首をひねりつつも、先発が5回以上を投げるのは実に6試合ぶり。ベテランがお手本のような粘りを見せ、今季2勝目を手にした。

3回までは無安打投球だった。中11日を空け、自慢の直球も切れ味抜群。3-0の4回、島内と浅村に2者連続ソロを浴びた場面は「島内選手のは失投。浅村選手のは、若干マウンドで滑ったので悔いの残る投球だった」と、素直に反省した。ただ、ズルズルと引きずらなかったのが42歳の真骨頂だ。勝利が決まり、和田の両肩をもみほぐしながら笑顔を見せた藤本監督は「最高のピッチング。ベテランらしいピッチングをしてくれた」とたたえた。

今季はダイエー時代の93年に福岡ドームが開業してから30周年。節目のアニバーサリーイヤーで、新記録となるペイペイドーム開幕6連勝を飾った。それも現役で唯一のダイエー時代を知る、和田で達成。23年の本拠地初登板で快挙を呼び「やっぱり投げやすかった。これだけのホークスファンの前で投げられることに『幸せだな』と思いながら」と感無量だった。

「元気な現役選手でいたい」と話すからこそ、年を重ねるごとに体のメンテナンスを増やした。小さな努力の積み重ねで、無数のフラッシュライトを浴びている。チームの連敗は「5」でストップ。球数70球で終え、次は中6日で5月3日オリックス戦(ペイペイドーム)に向かうことが濃厚だ。大ベテランは「1週間後にもっといい投球ができるように」と、当たり前のように言った。【只松憲】