帰宅の途に就く日本ハム鈴木健矢投手(25)は「幻の、ただのボールになっちゃいました」と笑った。カバンには、銀紙に包まれた“記念球”が入っていた。

雨天ノーゲームとなったDeNA戦(横浜)。3点を追う2回2死一塁で一、二塁間を破る右前打。加藤豪と松本剛の連続適時打を誘発するプロ初安打となるはずが、雨脚が強まって試合は未成立。記録も消えた。それでも「一応、両親に幻のボールを渡そうかなと」とニヤリ。「ちょっと詰まってましたけど、やっぱり練習してない分、バットが出てこなかった。たまたま当たったっていう感じです」と感触を振り返りつつ、「いつか初ヒットを渡せたら。でも本業はピッチャーなので」と苦笑いした。

その“本業”は苦しんだ。雨でぬかるむマウンドに苦戦したこともあり、制球も不安定。立ち上がりの1回からDeNA打線につかまり、打者一巡で3失点を喫した。「しっかり対策をされた。前さばきというか、浮き上がる前に捉えてくる感じが見えた」。牧に許した3ランなど、しっかりとアンダースロー対策を講じてきた相手の術中にはまったが、こちらの結果は雨に救われて幻に終わった。

初安打と3失点。ともに記録は帳消しとなったが、サブマリン右腕にとっては「もちろん3失点なくなった方が」と笑顔。「(前さばきをしてくる)そういう打者に対しての対策も考えないといけない。勉強になった」と収穫を得た幻の試合となった。【木下大輔】

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