近本離脱の苦境の中、新1番が“激レア1号”で鼓舞した。阪神島田海吏外野手(27)が、初回先頭打者本塁打でプロ初アーチを決めた。

前日4日に「右肋骨(ろっこつ)骨折」で出場選手登録を抹消された近本に代わり、今季初めて「1番中堅」でスタメン出場。広島森下の3球目、144キロ直球をはじき返し、右翼ポールに直撃させた。

「いい投手なので、どんどん積極的にスイングしていくイメージでした。チームに勢いをつけることができてよかった。めちゃくちゃうれしいです!」と声をはずませた。プロ6年目、通算545打席目での初本塁打。プロ初アーチが先頭打者本塁打は98年坪井、16年高山以来、球団3人目。伏兵が珍記録を作った。

この5年間、虎の中堅を守り続けてきた不動のレギュラーがいない。チームにとっては痛手だが、控えメンバーにとっては出場機会を得られるチャンスにもなる。「チームにとって最悪な形で回ってきてしまったかもしれないけど…」とした上で「僕はいつ、どの場面で来るか分からないという中で準備している。任されたところで自分の仕事を全うするだけ」と言い切った。代走、守備固めでベンチを温めてきた男が、チャンスを生かしてみせた。

一塁ベースを回ると、右手を突き上げガッツポーズ。ベンチではナインからスルーされた後、手洗い祝福を受ける「サイレント・トリートメン!ト」で祝われた。この日から1軍再昇格した佐藤輝も「5番三塁」でスタメン。近本の穴は全員で埋める。【中野椋】