阪神岩崎優投手(32)は、マウンド上でウイニングボールを天に掲げた。「自然となってましたね、みんなで。(横田さんの)名前を呼び合ってました」。左腕に呼応するかのように、梅野ら虎ナインは空を見つめながら手をかざした。天国へと旅立った13年ドラフト同期の戦友のために懸命に腕を振り、追悼試合で思いを込めた1勝を届けた。

守護神岩崎は2点リードの9回に登板。先頭中田に四球を許したが、「狙い通りにいけた」と続く代打岸田を低めのチェンジアップで遊ゴロ併殺打に。最後は代打長野を内角直球で二ゴロに打ち取り、左腕は左手人さし指を空に突き上げた。今季15セーブ目を挙げ、お立ち台で左腕は「本当に勝ててよかったです、本当に」と感慨深げだった。

6回に大山の2ランで逆転した直後の1点リードの7回には、岩貞祐太投手(31)が上がった。「ヨコの気持ちも背負って投げました」。1死から吉川に遊撃への内野安打を許し、梶谷には右前打を浴び1死一、二塁のピンチを招いた。左腕は同期の顔が頭をよぎり、「抑えさせてくれるんだろうな」とつぶやいたという。最後は好調秋広を内角への渾身(こんしん)の150キロ直球を投げ込み、二ゴロ併殺打に料理。「抑えられてよかった」と左拳でガッツポーズを決めた。

岡田監督は「今日は特別なゲーム。最初からある程度接戦の時はドラフト同期は投げさそうと思ってた」と明かした。横田さんの同期の左腕2人の力投もあり、大事な試合を「勝利」という最高の形で飾り、ウイニングボールは横田さんの両親のもとに届けられた。

岩貞は「もっと一緒にやりたかったなって思います」と本音をこぼした。岩崎は「1日1日いい報告ができるようしていって、最終的には一番いい報告ができるようにと思います」とあらためて決意を固めた。戦友の思いを胸に秘め、「アレ」達成へと左腕を振り続ける。【古財稜明】

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