そら俺のおかげよ-。阪神岡田彰布監督(65)が3日、オリックス平野佳寿投手(39)が2日の日本ハム戦(京セラドーム大阪)で達成した日米通算250セーブの快挙を喜んだ。指揮官がオリックスの監督1年目だった10年、リリーフ適性を見いだして先発から中継ぎに配置転換。その後、球界を代表するクローザーにのし上がるきっかけをつくった。互いに日本シリーズ進出が決まれば「師弟対決」からも目が離せない。

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かつての教え子が成し遂げた偉業に、岡田監督の頬が緩んだ。2日の日本ハム戦の9回に登板したオリックスの守護神平野佳が1イニングを無失点に封じ、史上4人目の日米通算250セーブを達成。報道陣から「活躍は見ていてうれしい?」と問われた指揮官は「そらそうやんか!」と岡田節で喜んだ。

14年前の09年オフ、平野佳に先発からリリーフへの配置転換を命じたのが、オリックスの指揮官に就任したばかりの岡田監督だった。プロ入りから4年間先発していた右腕は同年、3勝12敗と大きく負け越し。持ち球が少なかった右腕に「お前、よう12敗するまで先発で投げさしてもろたなあ。俺、3勝12敗のピッチャーよう先発で使わん言うてな」と当時を思い返した。

翌10年の2月27日、高知・安芸での阪神とのオープン戦。「お前1回先発してみい」と先発させた右腕は、マートン、鳥谷、狩野に1発を食らうなど3回7失点と炎上。「あれから先発1回もしてないわ」と、この試合を機に、指揮官はリリーフ転向を決断した。「フォークという1つの武器があったからな。やっぱ後ろやと思ったよ。ストレートとフォークだけで十分いけたからなあ」。阪神での第1次政権で藤川球児のリリーフ適性を見出して開花させた時と同じく、平野佳にもその可能性を感じた。その眼力は確かで、平野佳も見違える結果を残し続けてセットアッパー、抑えでフル回転。今季もリーグ3連覇に貢献するなど球界屈指のクローザーに成長した。

岡田監督は人間性にもほれ込んでいる。18年にメジャーに挑戦するため海を渡った時や、NPBに帰還する時も律義に電話があったという。「成績とかそんなんじゃなしに、(母校の)京産大にシーズン終わってからいつもあいさつ行くとかな、そういうのもすごく気にするし、俺は大事と思うんよな」と感慨深げに話した。互いにCSを勝ち上がれば日本シリーズで対戦する可能性もある。「(リードした展開で平野が)投げれる?」。不敵な笑みで師弟対決に思いをはせた。【古財稜明】

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