日本ハムは29日、千葉・鎌ケ谷の2軍施設で立野和明投手(25)に来季の契約を結ばないことを通達した。

19年ドラフト2位入団の右腕は、日本ハムでは着用できなかった“2桁勝利スーツ”を披露できる新天地を求めて、11月15日に鎌ケ谷で開催される12球団合同トライアウトを受ける予定だ。また、山田遥楓内野手(27)、梅林優貴捕手(25)、松岡洸希投手(23)も同様に通達を受け、山田は現役続行を希望。梅林と松岡は球団から育成選手契約を打診されたもようだ。

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どんな時でも“とにかく明るい立野”は現実を受け入れ、前を向いていた。来季の戦力構想から外れたことを通達された鎌ケ谷で取材に応じた立野は真面目なトーンで「とりあえず、野球を続ける方向で。もしダメだったら辞める覚悟も…野球をやり始めた頃から思っているんで、それは。全然悔いはないっす、僕は…」と話した直後にトーンを上げて続けた。

立野 なんかもう野球やめるみたいな感じになってる…やめないよ、まだ。まだやめないけど、いざという時はやめないといけない時は来るから。でも、すごく前向きです。来年に向けて。スッキリしている。

天性の明るさで逆境も乗り越える。「体自体は元気なんで。特に問題ない」と、現役続行を目指して12球団合同トライアウトを受ける予定。次のステージを見据えてハイトーンで話す姿は、20年1月に勇翔寮へ入寮した時と変わらない。当時は、えんじ色の裏地にたくさんの“白星”がデザインされたオーダーメードのスーツを着て登場した。「あれは、とっておきの時しか使わないんで」と、この日はベーシックなスーツ姿だったが、日本ハムではやり残したことがあった。

立野 2桁勝ったら着ようと思っていたスーツが家にある。2年目に4勝した後に、次の年に2桁勝ったら契約更改で着ようと。まだ袖も通していない。

21年シーズンのオフにオーダーした未使用の一張羅を、お蔵入りにするわけにはいかない。「それは来年からのお楽しみということで」。新天地での現役続行を目指して、立野らしく明るく突き進む。【木下大輔】

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