「ギータ2世」が激変だ。ソフトバンク笹川吉康外野手(21)が宮崎秋季キャンプ第3クール初日の10日、メジャー流の打撃改造を行った。米シアトルのトレーニング施設「ドライブライン・ベースボール」の動作解析を用いて打撃フォームを改良。小久保裕紀監督(52)も「(笹川)吉康は明らかに変わりました」と来季高卒4年目の大砲候補の変化に驚きを隠せなかった。

  ◇  ◇  ◇

スラッガー覚醒の予感だ。「ドライブライン・ベースボール」のスタッフが8日に計測したデータをもとに、各個人の課題を細かくレクチャー。笹川ら6選手がフィードバックの座学と実技指導を受けた。主砲柳田が若手時代につけた背番号「44」を引き継ぐ21歳はスイング改良に励んだ。「今まで体全体を開かないようにスイングしていたけど、それがダメだと言われた。僕の場合は腰は開いて上半身を残すと足腰の力で打てると」。見守っていた小久保監督は「(課題を)修正するドリルをやったら、(笹川)吉康は明らかに変わりました」と驚きを隠せなかった。

1軍未出場も柳田ばりのフルスイングが持ち味。横浜商時代は通算40本塁打の左の大砲候補で、スイングスピードは「メジャーでもトップクラス」と小久保監督は言う。指揮官が手塩にかけて育ててきた“チルドレン”が、動作解析の最先端に触れて打撃向上を目指す。通算413本塁打の小久保監督が「あれがあれば500(本塁打)打っとったかもしれん」と苦笑い。「(現役時代に)なんでアウトコースの打球が飛ばんかったのか理由が分かった。外甘まで引っ張っていたので。知ってたらライトにもうちょっと本塁打を打てたかな」。最新鋭のデータ活用にうなずいていた。

動作解析の一番の目的は、秋季キャンプ終了後の自主トレに生かすためだ。おのおのの課題を明確にして来春キャンプを万全で迎えるためだ。小久保監督は「自分の課題に沿ってやったほうが良い。冬の過ごし方も変わってくる」と話す。3年連続V逸でチーム再建は始まったばかり。「ギータ2世」が覚醒すれば、打線の底上げにつながる。【只松憲】

◆笹川吉康(ささがわ・よしやす)2002年(平14)5月31日、神奈川県横浜市出身。横浜商では甲子園出場なしも通算40本塁打を放った。20年ドラフト2位で入団。今季はウエスタンリーグで90試合に出場し、打率2割1分1厘、4本塁打、29打点。今季推定年俸は620万円。194センチ、92キロ。左投げ左打ち。