巨人長嶋茂雄終身名誉監督(87)が雄たけびを上げた。23日、東京ドームで行われた「ジャイアンツ・ファンフェスタ 2023」の最終盤にグラウンドにサプライズ登場した。昨年9月に脳内出血のため入院し、開幕戦以来の公の場。阿部慎之助監督(44)からマイクを託されると左手でにぎり「来年は絶対に勝とう! 勝つ、勝つ、勝~つ!」と3万9527人が集まった球場にとどろかせた。

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ミスターが声高らかに大号令をかけた。阿部監督を中央に首脳陣、選手が横一列に並んだ。三塁側ベンチから車椅子で登場すると、阿部監督が、岡本和が、坂本が、菅野が、1歩、2歩、3歩と歩み寄り、迎え入れた。公の場に姿を現すのは3月31日の中日との開幕戦(東京ドーム)以来。濃紺のスリーピースにドット柄のネクタイがビシッと決まっていた。

阿部監督の終演のあいさつから場内のボルテージが急上昇した。新背番号83の新ユニホームを身にまとい「優勝から遠ざかり、日本一からもっと遠ざかっている。とても悔しいです。新しくなったジャイアンツを皆さんに見ていただき、喜んでいただきたい。来年の今ごろは皆さんと喜びを分かち合いたいです」と呼びかけた。場内から拍手が沸き起こると、続けて「お忙しい中、長嶋終身名誉監督が来ていただき、あの言葉をいただきたい」とサプライズを演出した。

20世紀最後の00年ドラフトでミスターが1位指名して阿部監督を巨人に迎え入れた。プロ1年目に開幕スタメンマスクに抜てきしたのもミスターだった。監督就任後は秋季キャンプ中の2日には阿部監督に直電で激励した。昨年9月に自宅で転倒して後頭部を打って入院し、足腰のリハビリの進み具合などで退院はできていないが、ファンの前にサプライズ登場。左手でしっかりとマイクをにぎりしめ「来年は絶対に勝とう! 勝つ、勝つ、勝~つ!」と声を張り上げた。

来季は球団創設90周年の節目のシーズンになる。球団史に刻まれる記念すべきシーズンでのリーグ優勝、日本一奪回が使命になる。衰えを知らないミスターのみなぎる覇気が、阿部監督の船出に追い風を吹き込む。【為田聡史】

◆長嶋茂雄氏の「勝つ勝つ勝~つ」 始まりは94年の中日との「10・8決戦」の試合前。当時の長嶋監督は宿舎でのミーティングで「俺たちは勝つ!勝つ!勝つ!」と連呼。士気を高めて臨んだ巨人は勝ち、優勝を決めた。近年は春季キャンプを訪れた際に激励のフレーズとして使われることが多く、高橋監督時代の17、18年宮崎キャンプでは「勝つ」を連呼し球場を沸かせた。原監督時代の21年3月2日には東京ドームを訪問し、若手選手も集めて「勝つ」を3度叫びチームを鼓舞している。

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