西武宮川哲投手(28)とヤクルト元山飛優内野手(25)のトレードが21日、両球団から発表された。

所沢は夏場以外はそれなりに涼しいのに、宮川はいつも半袖を着ていた。

寒くないんですか?

「暑いっす」

もう冬ですね。

「夏っす」

暑がりだったり?

「めっちゃ暑がりっす。常に暑いっす」

地元は奈良・生駒。

「まぁ盆地なんで、暑いっす」

高校は東海大山形へ越境入学した。

「盆地だし、内地の方やから暑いっす」

大学は群馬・上武大。

「暑いっす。暑いところばっか行ってる。群馬が一番暑かったんじゃないですかね。やばかったっす」

そういえば社会人時代に160キロ出したといううわさが一時期流れた。

「出てないっす」

そんな宮川とのやりとりで、一度だけ「寒いっす」と言っていたことがある。上武大の時、正月明けに行った当時の「成人式ノック」だ。20歳になる学生たちがグラウンドに集まり、ひたすらにノックを受ける同大野球部の恒例行事だ。

「やりました。あ~れは寒いっす。まじで寒かったっす。でもめっちゃおもろいっす。雪の後とかだったんですかね? みんなドロドロになって」

いつもは「暑いっす」「疲れたっす」と端的なコメントで照れ笑いする宮川は、実はとても仲間思いで、思い出話は実にうれしそうに話す。

「成人ノックの時の写真、いまだにありますよ。家の玄関にありますよ。いい思い出っす」

西武では派手な活躍こそできなかったものの、仲間たちに恵まれた。

いつも隣に誰かいた。南郷キャンプ休日には高橋光成投手(26)と電動自転車をこぎ、鵜戸神宮までの往復40キロ超の旅をした。道中のBGMは宮川の熱唱。その時に歌った鳥羽一郎「兄弟船」は、ブラジル出身のボー・タカハシ投手(26)にも伝授した。

この日の「西武宮川」としての最後のコメントでも「普段は騒ぎながら締めるところは締める、そんなブルペン陣が好きですし、寂しい気持ちです」と思いを募らせる。西武では圧倒的な力は出せなかったものの、独特な存在感の「テツさん」として愛された。

なお、演歌好きかと思いきや「カラオケのレパートリー、けっこう多いっすよ。どんなジャンルでもいけます」とのこと。新天地でヒーローになって大東京、夏の夜空にこぶしを響かせたりして。心機一転の奮闘、楽しみっす。【23年西武担当・金子真仁】

【関連記事】西武ニュース一覧