元巨人でヤンキースGM付特別アドバイザーの松井秀喜氏(49)が、巨人の宮崎春季キャンプで臨時コーチを務めることが29日、分かった。臨時コーチは18年以来6年ぶり4度目で、2月10日からの第3クールで合流予定。過去には、若手時代の岡本和を指導し開花へのきっかけをつくっており、背番号55を受け継ぐ秋広ら若手の飛躍の起爆剤にと期待される。阿部慎之助監督(44)とは現役時代を含め深い縁もあり、臨時コーチ就任が実現した。再起を図るチームに、最強の助っ人が襲来する。

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ゴジラが6年ぶりに宮崎にやってくる。巨人、ヤンキースなどで活躍した松井氏が、宮崎での春季キャンプで臨時コーチを務めることが判明した。実戦形式に入っていく第3クールにチーム合流し、直接指導を行う予定。阿部新監督のもと、リーグV奪還を目指すチームにとって、最高で最強の援軍が打撃開花に一役買う。

ゴジラの愛称で親しまれ、引退後も不定期で巨人キャンプを訪れてきた。「誰が伸びしろがあるか分からない。どんな選手も無限大の可能性がある」と幅広く助言を送る中、16年と18年には坂本や岡本和に打撃指導。特に岡本和には長距離砲の後継者として技術を注入した。実際、指導を受けた岡本和の存在感は年々増していき、不動の4番として昨季は同氏と並ぶ3度目の本塁打王を獲得。キャンプでの直接指導が実を結び、飛躍のきっかけとなっていた。

今回の“強化指定選手”は、55番の背番号を受け継ぐ身長2メートルのメガゴジラこと秋広になりそうだ。昨年5月に始球式で東京ドームに来場した際、初対面で「これからのジャイアンツを背負う選手になって」とエールを送った。昨季は規定打席未達も10本塁打をマークし、一時はクリーンアップを担って急成長を遂げる一方で、そのポテンシャルはいまだ未知数の秋広。未完の大器への初めての直接指導で、同じ左打者としてさらなる成長を促す起爆剤となりそうだ。

阿部監督とは現役時代から深い縁を保ち続けた。現役時代は01年から2年間、一緒にプレーした。駆け出しだった阿部監督は、不動の4番に君臨していた同氏を「打球を見て衝撃を受けた。雲の上の存在」と尊敬。同じ左打ちの強打者で、現役引退後の13年冬には対談のためニューヨークを訪れた阿部監督の打撃投手を買って出るなど、松井氏も野球人として認める存在。阿部監督の就任1年目の春から全面協力を惜しまず、もうすぐ宮崎に上陸する。

 

★現役引退後の松井氏と巨人の春季キャンプ

◆14年 臨時コーチとして2月1日から13日までチームに同行。寝食を共にした。打撃投手を積極的に務め、ブルペンでは打席に立って2年目の菅野と対峙(たいじ)。ランチタイムに特打を披露し5本柵越え。

◆15年 2月3、4日の2日間、視察目的で宮崎を来訪。スーツ姿で球団が用意したジャンパーを着用。2軍の球場で新人時代の岡本和の打撃をチェックした。

◆16年 2年ぶりに臨時コーチを務めた。ヤンキースで同僚だったジーターやアレックス・ロドリゲスらを例に「軸足に体重を残して打つこと」と打法を指導。坂本は低重心の打撃改造で、その年に初の首位打者を獲得した。

◆18年 第2クールの2月6日から同12日まで臨時コーチ。野手陣にジーターの言葉「every single day」を引き合いに「良くても悪くても一喜一憂するのではなく結果を受け入れ、次に何をするか。その繰り返しを日々やらないといけない。毎日毎日、繰り返しだと」と訓示。

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