“イチ流”のバットコントロールで対外試合初安打をもぎとった。DeNAドラフト1位の度会隆輝外野手(21=ENEOS)が18日、ロッテとの練習試合に途中出場。8回1死、ロッテ広畑に追い込まれながらも、低めのスプリットを右手1本でヘッドを返さずに捉え、一、二塁間を破った。社会人野球時代から交流がある師匠のイチロー氏(50=マリナーズ会長付特別補佐兼インストラクター)をほうふつとさせる技あり一打で1歩を刻んだ。

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2000人以上が集まった日曜日のスタンドを沸かせた。8回1死、度会が潜在能力の高さを見せつけた。2球で追い込まれても、動じない。3球目の地面すれすれのスプリットに反応。ヘッドを返さずに捉える技ありの一打で、難しいボールを右前に運んだ。対外試合9打席目での初安打。「落ち球を前さばきできた。あの球でヘッドを返すと一ゴロになってしまうけど、うまくヘッドを残したまま運べた」と喜んだ。

イチロー師匠ばりの技術だった。バットコントロールには自信があり、初安打まで8打席で空振りは0。1月に食事に連れて行ってもらったイチロー氏とはENEOSでともに練習に励んでおり、“イチ流”の技術を吸収した。ワンバウンドでもヒットにする同氏の現役時代の動画を参考にし「まだまだ程遠いですけど、いずれはそういったバッティングができるように」と日米通算4367安打の背中を追う。

キャンプインから約3週間が経過。大レジェンドに近づくために、野球漬けの日々だ。肌はすっかり日焼けし、手のひらにできたマメの痛みに耐えてバットを振り込む。髪も長く伸びたが「気にしている暇がない。練習、練習、練習ですよ」と気にしない。メディアからも注目される。「疲れは0と言うとウソになりますけど、その中でやる試合も今後に絶対生きてくると思う」と食らいつく。

この日の第1打席では柵越えまで、あとわずかという特大の右飛。9回2死一塁からは見逃し三振で、プロ入り後、10打席目にしてようやく初三振を喫した。両膝を地面につき「三振はしたくはない」と悔しがり「追い込まれてからも、しぶとく、しぶとく、ヒットを打てるように」と理想は高い。まだまだ、伸びしろたっぷり。持ち前の明るさを振りまきながら、着実に成長していく。【小早川宗一郎】

【動画】巧みなバットコントロール DeNA度会隆輝が練習試合初ヒット