開幕ローテーション入りへ猛アピールだ。ロッテ中森俊介投手(21)は楽天との練習試合に先発。2回1安打無失点と好投した。先発候補に挙がっていた東條に続き、この試合では本前も負傷降板。離脱者が相次ぐ中で、昨季は中継ぎを中心に3勝を挙げ、4年目を迎える期待の右腕が、先発枠に食い込む。

     ◇     ◇     ◇

糸を引くような軌道だった。だが中森の理想はもっと先にある。「真っすぐ…まだまだですね」。若者の表情はさらなる高みを目指していた。

初回から飛ばした。楽天小深田への初球。この日最速147キロをいきなり計測した。序盤から140キロ台中盤の直球を中心に組み立て、初回を3者凡退で滑り出した。

2回、先頭の4番島内にこの日初安打を許したが、全く動じていなかった。後続を一直、二ゴロ、三ゴロ。3人をわずか7球で打ち取り、マウンドを降りた。同カードとなった前回登板の13日楽天戦も2回無失点だったが、反省点はあった。「前回は四球(1つ)を出してしまった。今日は四球を出さずにゾーンでしっかり勝負できた」と課題を克服し、修正した。

先発陣の救世主となる。小島、種市、佐々木の3人は当確といえる。西野、メルセデスの実績者も有力だ。残り枠は限られる中で、中森の後にマウンドを託された本前は左腕に重傷を負った。今季から先発転向の東條も左脇腹負傷で離脱した。中森は対外試合の“開幕投手”を任されるなど期待値は高い。

だからこそ中森も自分へのハードルは高い。「ランナーを出してセットポジションに入ってから、体重移動がうまくできていなかった」。登板後にブルペンで15球を投げ込むなど“おかわり投球”も欠かさなかった。

吉井監督は「真っすぐ主体でしっかりストライク先行で良かったと思います」と一定の評価を与えた。開幕ローテのサバイバルに生き残るために先輩投手に聞いて準備する。「枠は少ないですけど、しっかりそこに入れるように。やることをしっかりやっていれば、結果がついてくると思うので、まずは自分の力を出し切れるように準備したいと思います」。高卒4年目の右腕がチームの希望の光となる。【星夏穂】

◆中森俊介(なかもり・しゅんすけ)2002年(平14)5月29日、兵庫県丹波篠山市生まれ。明石商では1年夏から甲子園に出場し、2年春夏に連続で4強進出。20年ドラフト2位でロッテ入団。23年3月31日ソフトバンク戦でプロ初登板。4月5日日本ハム戦で初勝利。昨季は13試合、3勝2敗、防御率3・54。今季推定年俸1500万円。182センチ、90キロ。右投げ左打ち。

【関連記事】ロッテニュース一覧