カモメ無双が止まらん! ソフトバンク有原航平投手(31)が、今季チーム一番乗りの完投勝ちを決めた。

失点は2本のソロのみで、9回を3安打にまとめ、相手エース佐々木朗希投手(22)との投げ合いを制した。ロッテ戦は日本ハム時代の19年5月30日から無傷の9戦9勝。カード別でもパ最多の22勝(7敗)を稼ぐ超お得意さまを抑えてチームの貯金を再び6に戻し、小久保ホークスが首位をがっちりキープだ。

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同点、サヨナラを信じるロッテファンの歓声も気にしない。有原は顔色を一切変えず、3番ポランコを仕留めた。2点差の9回2死一塁。助っ人砲をわずか2球で追い込んだ。カウント1-2。最後は外角低めへ134キロチェンジアップを投じた。ストライクゾーンからボール球へ完璧な制球。空振り三振で9回107球を投げ切った。「絶対に三振を取る気持ちでいきました。本当に気持ちいいです」。難敵佐々木朗希とのプロ初の投げ合いを制し、今季チーム一番乗りでの完投勝ち。敵地のお立ち台では心地よさそうに千葉の夜風を浴びた。

簡単には崩れない。失点は5回、7回のソロ2本のみ。連打は1度も許さなかった。「次のバッターに向かっていけた」。佐々木とは対照的に変化球を多投した。最速も約10キロ程度は劣るが、多彩な球種でカバー。佐々木の「剛」に対し緩急も駆使した「柔」で渡り合った。「丁寧に。コントロールが今日は一番良かったかなと思います」。古巣日本ハムに2週連続で敗れたが、3戦ぶりの2勝目でタイに戻した。

初回から5回1死まではパーフェクト投球。8回1死からは四球で走者を出すも、8番中村奨を注文通りの遊ゴロ併殺に打ち取った。普段はポーカーフェースな右腕もグラブを大きく振り上げ、内に秘めた熱い思いをほとばしらせた。小久保監督は「球数100いってなかったので、行ってもらおうと。よく投げ切ってくれました」。最終イニングも信頼して送り出し、期待に応えた力投をたたえた。

有原自身は日本ハム時代の19年5月30日からロッテ戦は9戦9勝。カード別でも最多の22勝(7敗)を挙げる無双状態が続いている。それでも「まあ。でも、はい。勝てることはうれしいなと思います」と慢心はない。佐々木相手に週頭を取り「今日勝てたことは本当にいい1勝になったかなと思います」とチームの勝利を喜んだ。貯金を6に戻して首位をがっちりキープ。4年ぶりのV奪回へ、開幕右腕にかかる期待は大きい。【佐藤究】

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