【上海(中国)24日=大友陽平】AKB48/NGT48柏木由紀(26)が初の海外単独ライブをバンダイナムコドリームホールで行った。AKB48グループ在籍中のメンバーが海外で単独ライブを行うのも初めて。前日23日と合わせて2000人を動員。海外進出に向けた第1歩を踏み出した。

 柏木がオープニングで中国語で呼び掛けた。「ダージャーハオ・ウォーシー・バイムーユージー(こんばんは、私は柏木由紀です)」。会場は一気に「ゆきりん」コールに包まれた。観客1000人中、日本人は15人ほど。ほとんどが地元ファン。続けて「ダージャーカイシンマ(楽しんでますか?)」と呼びかけると歓声はさらに大きくなる。初の海外単独公演。「ファンの皆さんがめちゃくちゃ熱くて、優しかったです。最高でした!」。

 AKB48人気は絶大だった。現地関係者によると、ファンはネットなどでライブの動画を見たり、メンバーのSNSを頻繁にチェックして、ファン同士で共有しているという。創成期から活躍する柏木の知名度は高く、ライブ取材には現地メディア20社以上が殺到。上海市内の観光名所、田子坊を散策した際も若者たちに次々と「ゆきりん!」と声を掛けられた。

 ライブでは、AKB48のヒット曲「フライングゲット」など21曲を全て日本語で歌ったが、ファンは曲に合わせ「チョーゼツ(超絶)カワイイ!」コールをしたり、ソロバラード曲「夜風の仕業」では一緒に日本語で大合唱した。

 13年2月にソロデビュー後、海外での活動も視野に入れてきた。昨年7月にグループでの活動の合間を縫ってパリで行われたイベント「ジャパンエキスポ」に出演。「元気と明るさを届けるというのは、世界共通で必要と感じた。言葉は分からなくても、身ぶり手ぶり、表情で表現できれば伝わる」と体感した。上海のファンにも、歌やダンスだけでなく、MCでは画用紙にイラストを描く工夫もして思いを伝えた。

 日本国内の握手会には台湾、タイ、シンガポールなどからもファンが集まる。各国からライブ出演の依頼も届いている。「今度は私の方から皆さんの国に行きたい。これからもAKB48の中で道を切り開いていく人になりたい。ソロの歌手をやってみたいという後輩メンバーが増えたらうれしい」。パイオニアの自覚と意欲を、あらためてかみしめた一夜になった。