世界的に評価の高い作家村上春樹さんのベストセラー小説「海辺のカフカ」を、日本を代表する演出家の蜷川幸雄さんが舞台化した作品が28日、ロンドン中心部のバービカン劇場で上演され、観劇した約1500人が総立ちで拍手を送った。

 15歳の少年カフカと、猫と話せる老人ナカタさんらの旅が同時進行し、時間軸のねじれも加わって交錯していく多層的な物語の世界を、舞台上を自在に動く特殊なセットで表現した。

 主人公のカフカを演じたのはオーディションで選ばれた古畑新之。宮沢りえや藤木直人らも熱演し、目の肥えたロンドンの演劇ファンを魅了した。

 経営アナリストのピーター・ホートンさん(35)は「素晴らしかった。仕事の後で疲れていたが、最後まで目が離せなかった。原作も読んでみたい」と満足そうに語った。

 ロンドン公演は30日まで。米ニューヨークでも上演が予定されている。(共同)