シンガー・ソングライター山崎ハコ(61)が1日、都内で、2年ぶりとなるニューアルバム「横浜から 阿久悠未発表作品集」の発売記念インストアライブを行った。

 山崎がインストアライブをやるのは4年ぶり。「実はこういうのは慣れていなくて、演歌の人ってえらいなと思います」と笑いつつ、「私はやってこなかったから、すっかりアンダーグランドです」とほほ笑んだ。

 本作は、作詞家阿久悠氏の未発表曲から山崎自身が共感できる内容の作品を選び、曲をつけた作品集だ。シンガー・ソングライターとして、詩の内容には並々ならぬこだわりがある。「自分の中から出てきた詩は(歌で)表現できるけど、他人が書いた詩は感情移入できるかどうかで判断する」と明かした。

 そんな山崎が、この企画には2つ返事でOKをした。「光栄だと思った」とその理由を明かした。阿久悠氏の作品は、過去にトリビュートアルバムで、北原ミレイ「ざんげの値打ちもない」をカバーしている。同曲は北原歌唱の際、自主規制となった「幻の4番」の歌詞がある。山崎がカバーした際、その4番も歌った。そんな経緯から、「いろんな人が阿久悠先生に詩を書いてもらったといっていましたが、私は勝手にカバーしただけだったので、先生の詩をやってみたいと思っていました」と話した。

 また、本作のジャケットは上村一夫氏によるイラストとなっている。ここにも因縁めいたエピソードがある。「デビューからずっとアルバムだけでしたが、初めてのシングル(流れ酔い唄)を出すとなったときに、上村先生にダメ元でお願いした」とし、「会って書くと、OKをいただけたんです」と振り返った。

 デビュー前、横浜のラーメン屋で、当時「漫画アクション」で連載中だった阿久悠原作、上村一夫絵の劇画「男と女の部屋」を読んでいたという。「憧れていた阿久悠先生の世界と、上村先生のあの絵の女の人。永遠の憧れです」と目を輝かせた。

 生前、阿久悠氏には会っていない。だが、「歌っているときに先生がその辺で見ていてくれるような気がしています」とし、今回アルバムを作ったことで「あらためてお会いして、お話をしたかった」と後悔の念をにじませた。

 この日、タイトル曲「横浜から」や歌詞完全版の「ざんげの値打ちもない」など4曲を歌い、集まった約100人のファンを魅了した。