2020年末で活動休止をする嵐が、同年の東京五輪・パラリンピック主会場となる新国立競技場(新宿区)で、アーティストとしての“こけら落とし公演”を行う可能性が1月31日、音楽関係者の間で急浮上している。これまで、音楽シーンでいくつもの勲章を手にしてきた嵐。旧競技場でも最も多くの公演実績をもつだけに、新国立競技場の歴史の扉を開けるパイオニアとなりそうだ。

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嵐は国立競技場で08~13年まで、6年連続でアーティスト最多となる15公演を行った。いわば“国立の顔”だ。1月27日の会見以降、新国立競技場でもアーティスト初のライブを行う可能性が急浮上している。

新国立競技場を管理運営する日本スポーツ振興センター(JSC)によると、完成予定日は今年11月末。20年1月1日にはサッカー天皇杯決勝の試合が「テストイベント」として行われる。同7月24日の五輪開会式から9月6日のパラリンピック閉会式までは、関係競技以外は使用できないが、その後のスケジュールは白紙だ。JSCは「何も決まっていません。今後の検討事項です」。五輪後に嵐がライブを行う可能性は高い。活動休止まで秒読みというタイミングに加え、新国立初のコンサートとなれば、大きな話題を呼びそうだ。

“スポーツの聖地”と呼ばれた国立競技場は従来、スポーツ以外のイベントを行う敷居は高かった。最多15公演を行った嵐のほか、SMAPなど、集客力があり、実績がないと公演を行えなかった経緯がある。それは、新国立でも踏襲される見込みだが、嵐には何の問題もない。

都内で音楽イベントを手がけるイベンターは「天然芝を傷めないための養生が一番大変。東京ドームなどは10トントラックが使用できるが、新国立はまだ説明会が行われていないので分からない。でも、嵐の集客力からすれば、警備や搬入・搬出の問題は簡単にクリア」と指摘する。新国立の収容は約6万8000人。ファンクラブ会員が約255万人もいる嵐からすれば、チケットの即完売は必至だ。

五輪・パラリンピックの開催で世界中の注目を浴びる新国立。そこで、スポーツの熱気が冷めやらぬうちに、嵐が“エンタメの嵐”を呼び起こしそうだ。